長編

□天使犬ハッピー物語
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 ところが、ある日の朝。
メイはベッドから起き上がることができず、しばらくすると赤い十字に真っ白な車が家の前にやってきました。いつもと違うことに気が付いたハッピーは車に乗ろうとしましたが、白い服を着た人に邪魔をされました。それでも乗ろうとするハッピーでしたが、メイのお父さんに家の中に連れ戻され、ドアを閉められてしまいました。ひとりぼっちになったハッピーは、鳴き続けることしか出来ませんでした。

 次の日にメイのお父さんが一人で帰って来ました。

ハッピーはメイのことを聞きたくてたまりませんでしたが、お父さんはハッピーを強く抱きしめたままずっと黙っていました。
ハッピーの頭に温かいものが伝わってきたので、お父さんは泣いているのだと気が付きました。そして、メイの身によくないことが起こっていることを理解しました。

 その日から、ハッピーはいつも家の前で待ち続けました。暑い日も寒い日も雨の日も風の日……。でも、季節がいくつも変わっても、メイは帰って来ませんでした。
いつも夜遅くに帰ってくるお父さんは見る見る元気が無くなっていきました。

 そんなある日、お父さんが毎日欠かさず手を合わせている場所に女の人が立っていました。ハッピーはびっくりして、吠えようとしましたが、吠えることが出来ませんでした。その女の人はメイがよく見せてくれたメイのお母さんの写真とそっくりだったからです。すると、女の人がハッピーのほうにふりむき、声を掛けてくれました。
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