長編
□天使犬ハッピー物語
3ページ/6ページ
「あなたが、ハッピー?」
「そうだよ。あなたはメイのお母さんですか?」
ハッピーは、人間が犬の言葉を理解していることに首をひねりましたが、女の人がメイのお母さんであるかどうかという気持ちが先に走っていました。
「わたしは、メイのお母さんです」
「やっぱり、そうだと思った!! どうして、犬の言葉が分かるの?」
「きっと、わたしがたましいだけの存在だから犬のあなたとお話しが出来るのよ」
「じゃあ、ぼくもたましいだけになればメイと話せるようになるのかな」
ハッピーの言葉にメイのお母さんの顔がくもりました。
「どうしたの、お母さん?」
「ハッピー、あなたに今日はお話があります」
ハッピーはメイのお母さんからメイの命がもう少しで終わってしまうことを知りました。ハッピーは、とても驚きました。メイと二度と会えないなんて信じられませんでした。落ち込んでいるハッピーにお母さんが優しく声をかけてくれました。
「ハッピー。地上ではもう会えなくなるけど、天国という場所でもう一度会えるようになるわ」
ハッピーは頭を左右にはげしくふりました。
「いやだよ。ぼくは今、メイに会いたいよ!!」
「そう。なら、一度だけなら会いに行ける方法があります」
「本当!?」
「本当よ。今日の夜に会いに行きましょう」
ハッピーは顔を上げ、嬉しくて遠吠えをしました。
大好きなメイに会いに行けるなんて夢にも思っていませんでしたから。
お母さんは、喜ぶハッピーを優しく見守っていました。