長編
□天使犬ハッピー物語
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月の無い夜にハッピーはメイのお母さんに身体からたましいだけをとってもらい、二人で一緒にメイが入院している病室に訪れました。
久しぶりに会ったメイはまるで別人のように青白くやせていました。だけど、メイには違わないのでハッピーはメイの身体に自分の身体をくっつけようとしましたが、すり抜けてしまいました。何度も何度もやりましたが、メイには触れませんでした。となりでお母さんが、メイの頭をなでていますが、ハッピーと同じように触れませんでした。
「お母さん。メイに触れないね」
「そうね。こうやって会いに行けるのにね」
「もしかして、お母さんはいつもメイの側に居てくれたの?」
「ううん。でもハッピーが来てくれたから安心して天国にいけたのよ。ありがとう、ハッピー。メイの側にいてくれて」
「ぼくは犬だから側にいることしか出来なかったけど、お母さんはメイに伝えたいことはあったの?」
「あるわ。お母さんは、いつもメイが大好きだよってね」
「どうやったら、伝えられるの?」
「天国からは生きている人に手紙でないと伝えられないの。でも、手紙といっても、心に届くもので、それに天使じゃないと届けられないの」
ハッピーはお母さんの話を聞いて、しばらく黙って考えました。
そして、ハッピーは素晴らしい答えを導き出しました。
「じゃあ、ぼくが死んだら天使になるよ。メイにお母さんの言葉を伝えるよ!!」
「ありがとう、ハッピー」
ハッピーとお母さんのやり取りがメイに届いたのかその目にはうっすらと涙が浮かんでいました。少しほほえんでいるように見えました。