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□跳ねて廻るは白兎 弐
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政宗様を見つけて慌てて城へと戻り、医師に見せてから一晩と半日たった。
峠も越え、今は落ち着いた呼吸で床に就いている。
俺からも、やっと力が抜けた。
跳ねて廻るは白兎
-兎、魅了する-
酷い出血にも拘らず、命に別状が無かったのはやはり早期治療の御蔭だろう。
医師も言っていた。
(――兎(コイツ)には感謝しきれねぇな…)
俺は、俺の向いに眠る主の枕横で手を体の下に仕舞い、丸くなっている白兎に眼をやった。
こいつが政宗様の所へ導いてくれなければ、手遅れになっていたかもしれない。
(この俺がいながら……)
悔やんでも悔やみきれない。
主を護る為に存在する俺が、主をこんな姿にさせてしまうなんて。
俺は悔しくて己の袴を破れんばかりに握り、唇を噛む。
強く噛みすぎた性か、唇から血が滲んだがそんな事気にならなかった。
今は唯、自分が不甲斐無くて仕方がなかった。