高緑長編小説

□たんぺん
1ページ/1ページ

もう死んでもいいわ



緑間『月が綺麗なのだよ』
高尾『俺、もう死んでもいいや』

高緑はこんな感じっていう勝手なイメージで何番煎じなお話をひとつ。緑高の日おめでとう!!チャリアカ大好き!!この話書いてる時に亀/梨/和/也さんの ずっと を聴いてました。話とマッチしてると思うのでよかったら聴きながら話を読んでみてください。甘くないお話が甘くなるかも(笑)あと、RADの もしも もいいっす(笑)







「真ちゃん、とうとう明日は決勝戦だぜ」


「ああ」


いつもの帰り道

でも


さすがに今日はリアカー引く訳にはいかないから


久々に二人並んで歩く帰り道



「勝っても負けてもこれが最後の試合だ」


俺達の最後の試合……



「人事は尽くした、負けるなど有り得ないのだよ。」


「ハハッお前は相変わらずだな緑間…」


ホントその態度は変わんねぇわ……



いや、俺達には沢山の変化があったよな



初めて一緒にバスケした時、


「初めてあった時はさ、お前はスゲー変人で俺の事なんて全く覚えてなくて、ムカつくけど面白いやつで…

絶対お前に俺の事を認めさせてやるって息巻いてた」


誠凛に負けた時、

「人事を尽くして絶対に最後まで全力で勝利を狙うとことか」



夏合宿や練習試合

「意外とキセキ思いで認めた人間には優しいとことか」


宮地先輩や木村先輩、大坪主将の努力を知った時、

「人の努力を凄く評価して努力をする人を認めるとこ」


洛山との試合で俺のパスを信じて一緒に戦った時、


「『足手まといなどいないのだよ』なんて…」


不撓不屈の精神を3年の先輩や2年の先輩から受け継いだ時、


「秀徳を背負う事に揺らいだ俺に叱咤してくれたり」


今、こうしてお前とここに居れる事は運命だった



「緑間、俺はお前とバスケできてよかった」


「なっ 高尾?!」


耳まで真っ赤に染めた緑間が歩調を速める


照れると顔を見られないようにしちゃう癖



「お前の……緑間真太郎の相棒でよかった」


本当に……良かった


「俺と出会ってくれてありがとう」


少し早歩きの緑間の背中に呟いた


閑静な住宅街を緑間の背中を追いかけるように歩く


お互いが無言の中二人の足音だけが響いた




ふと早足だった緑間の足が止まる


俺は自然と緑間の一歩後ろで歩みを止めた



「高尾、空を見ろ」




俺に背を向けて立つ緑間の背中越しに見える


遥か上空に輝く大きな満月


冬の明るい星空の中で煌々と輝く光



緑間がゆっくりと振り返って俺を見る




「月が綺麗なのだよ」


ふっ と溢れた笑みが俺の見開いた目に映る



月の光を背に微笑む姿がひどく綺麗で優しくて


消えてしまいそうだ…



― なあ高尾、しっているか?


ん?なにを?



かの文豪 夏目漱石は、I love you を「月が綺麗ですね」と訳したそうなのだよ。


へー。そんなんで通じんのかよっ?


言葉の中に想いを潜ませる なんとも趣のある訳なのだよ。


確かに真ちゃんはそういうの好きそうだなー。


む?どうゆう意味なのだよ?


じゃあ、俺は ーー





「俺、もう死んでもいいや」


君が俺を愛してくれるなら


他のものなんて何一つ要らないんだ



君の愛が俺のすべてを満たしてくれるから


「っ……お前がそんな趣ある言葉を知っていたとは驚きなのだよ」


驚きに目を見開き頬をほんの少し紅く染める君


立場が逆転した事に少しだけ優越感に浸って



「ははっ…伊達に真ちゃんと3年間過ごしてないだろ?」



「俺にとって、お前と過ごした3年間は特別なものになった。」


「っ…うん。俺も特別だ」


「上手く言えんが、お前とこれからも共に生きたい


だから……


" 高尾和成さん、貴方の人生を俺にください "







― ただいまより、決勝戦 誠凛 対 秀徳 の試合を始めます。




俺達二人以外 誰もいない更衣室



「うっしゃっ!行くかー」


「ああ」


「背中は預けるぜ相棒」


「ああ。俺の背中もお前に預ける」


「うわぉ、嬉しい事言ってくれんじゃん♡」



「ふんっ、人事は尽くした。今日も必ず勝つ。」




ベンチに座る緑間の前に跪いて左手を取る

俺達に勝利をもたらす手

俺より少し大きな掌

長くて綺麗な指


「そんじゃよろしく頼むぜ?エース様♡」



指先にキスを


"俺の一生を貴方に捧ぐ"

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ