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□あなたを
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……え、尊敬する人物は誰か?
そうですね……。もし、生徒会副会長親衛隊の隊員にそう聞いたなら、返ってくる答えはほぼ8割方同じだろうと断言できますよ。
木村直
私たち副会長親衛隊隊長です。
……ちなみに8割方、という微妙な数字なのは、やはり親衛隊であるため副会長・桐生秀也の名を挙げるからで。しかし、そんな隊員でも2番目には隊長の名を出します。
隊員たちに信頼され、好かれているのがうちの隊長なのです。
かく言う私も、隊長のことを敬愛しているひとりなのですが。
……何故、副会長親衛隊がこんなにも隊長を好いているのか?
知りたいですか?……では、お話ししましょうか。
それは、1年前のこと…そう、ちょうど隊長が桐生様から直々に親衛隊長を任された少し後に遡ります――
「ね、納得いかないよね!」
「ほんとだよー。新しい隊長が木村くんって……なんで桐生様、彼を任命したんだろう?」
「僕もそれ思った!まあ顔はかわいい系だと思うけどさー。Aクラスだし、これと言って取柄もないよね……?ね、神崎くんもそう思わない?」
「え、私は……」
いきなり話の矛先が自分のほうへ向いて、私は口ごもった。
「神崎くんなら1年生だけど、美人だしSクラスで頭もいいし!」
「だよね!神崎くんが隊長やったほうがいいよー」
「そんなこと……」
勢いに押されて、私は曖昧に笑う。
正直言って、親衛隊に入った理由が生徒会での桐生様の仕事に対する態度(クラス委員は会議などで会う機会が何度かあった)や人柄にあこがれたから……ということもあり、その頃の私は隊長が誰か、ということにも、隊長に任命された木村、という先輩のことにも特に興味はなかった。それに隊長になりたいとも全く思っていなかった。
だから、「そういえばさぁ、この間桐生様がね…」と違う話題に移っていってくれたことにほっとして、静かにため息をつく。
そのとき話題になっていた「木村隊長」と初めて会うのは、それから数日後のことだった。