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□何時からか
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「んー……」
「あ?何考え込んでんだよ、河田。」
「いやー、吉村先生と俺、昔会ったことあるじゃない?先生はあのときに、どうして俺なんかが気になったのかなぁ〜って」
「……お前の惚気なんざ聞きたくねぇんだよバーカ」
ハッ、と馬鹿にしたように切り捨てられた。
パソコンから視線も寄越してくれないとか、ひどくない!?
「かいちょー、つめたーい!副会長に言いつけるよぉ?ふくかいちょー!」
「てめぇなあ……さっさと仕事しろこの馬鹿!」
ひゅ…っと音をたてて、会長の机から消しゴムが飛んできた。
「いたっ!ひどーい!」
「うるせーんだよ。いい加減集中させろ!」
「宏伸、物は投げない。」
消しゴムが見事顔面にヒットし、ぎゃいぎゃい騒いでいると、タイミング良く副会長が戻ってきた。
「ふくかいちょー!いいところに!」
「河田も集中すること。」
「はーい……」
副会長に言われてしまうと、言い返せない。
しゅん、とうなだれて仕事に戻ることにした。
「……ああ、河田。」
「へ?何?」
「そんなに気になるなら、特別に吉村先生の所へ行ってきてもいいですよ。」
「……えっ!?」
「はい、書類。落ち着いて仕事が出来る状態になったら、戻ってきなさい。」
笑顔で書類を差し出す副会長。
「……ありがとー副会長!!」
副会長の優しさに甘えて、俺は生徒会室を飛び出した。
「……香士、お前河田には甘いなぁ。」
「何、嫉妬?」
「んな訳ねえだろ」
「ふふ、わかってるよ。でも宏伸だって、河田との言い合い楽しんでるくせに。」
「……うっせー」
河田が去った後の生徒会室では、ぽつりと会長がこぼしていた。