short

□何時からか
1ページ/2ページ









「んー……」

「あ?何考え込んでんだよ、河田。」

「いやー、吉村先生と俺、昔会ったことあるじゃない?先生はあのときに、どうして俺なんかが気になったのかなぁ〜って」

「……お前の惚気なんざ聞きたくねぇんだよバーカ」



ハッ、と馬鹿にしたように切り捨てられた。


パソコンから視線も寄越してくれないとか、ひどくない!?




「かいちょー、つめたーい!副会長に言いつけるよぉ?ふくかいちょー!」

「てめぇなあ……さっさと仕事しろこの馬鹿!」



ひゅ…っと音をたてて、会長の机から消しゴムが飛んできた。



「いたっ!ひどーい!」

「うるせーんだよ。いい加減集中させろ!」



「宏伸、物は投げない。」



消しゴムが見事顔面にヒットし、ぎゃいぎゃい騒いでいると、タイミング良く副会長が戻ってきた。



「ふくかいちょー!いいところに!」

「河田も集中すること。」

「はーい……」



副会長に言われてしまうと、言い返せない。


しゅん、とうなだれて仕事に戻ることにした。






「……ああ、河田。」

「へ?何?」

「そんなに気になるなら、特別に吉村先生の所へ行ってきてもいいですよ。」

「……えっ!?」

「はい、書類。落ち着いて仕事が出来る状態になったら、戻ってきなさい。」



笑顔で書類を差し出す副会長。



「……ありがとー副会長!!」



副会長の優しさに甘えて、俺は生徒会室を飛び出した。
















「……香士、お前河田には甘いなぁ。」

「何、嫉妬?」

「んな訳ねえだろ」

「ふふ、わかってるよ。でも宏伸だって、河田との言い合い楽しんでるくせに。」

「……うっせー」


河田が去った後の生徒会室では、ぽつりと会長がこぼしていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ