Novel
□紙吹雪番外〜一髪二姿〜
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それは何の変哲もない、平和な日の夜。
「歳って…髪綺麗やんなぁ…?」
ふいに馨が呟いた。
突然の事に歳三は
「は?」
といった顔で馨を見る。
「そんな顔せんでよ」
苦笑混じりにそういうと、馨は潜り込んでいた歳三の布団から這い出て、未だ書類と睨めっこしている歳三の背中にピタッとくっついた。
「どした?馨」
背中にくっついている馨に優しく声をかける歳三。
「ん〜…」
しかし馨は背中に顔を埋めたまま曖昧に返事をするだけで顔を上げようとしない。
…馨が甘えてくるなんて…珍しいな…
まぁ、嬉しいけど。
不思議に思いながらも、普段滅多に無い馨からの甘えに歳三の顔は緩みっぱなし。
「……一髪二姿…」
そういうと馨はくるくると歳三の長い髪を指に絡ませる。
歳三はそんな馨の行動を黙って見ていた。
「女の代名詞なんに…」
こんなにしっくりくる男がいるとは…と馨は一人呟きながら、愛しそうに一房に口付ける。
そんな馨の行動に歳三は頬を赤らめながらも、抵抗せずに身体を馨に委ねた。
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