×Deep Rose×
□他愛もない、この時を…
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テレビでは「もうすぐ正月だ」
なんて言って、みんな楽しんでるけど…
「…」
ぼくは、独りぼっち。
他愛もない、この時を…
年末だというのに検事局は休みがない。
彼は今日も泊まりらしい。
…独りで飲む酒。
全然美味しくない。
「…帰ってこいよ…」
今は年越しなんて考えてられない。
とにかく今は、彼に返ってきて欲しい。
抱きしめて欲しい。
ちゃんと用意した彼用のグラス。
そこに注がれた赤色の酒が、むなしくテレビの映像を映し出していた。
「…」
時計をみると、既に11半を過ぎていた。
あと少し。
あと少ししかない…
早く帰ってきて。
「…御剣…」
………
「…よし!」
死ぬ気で頑張った甲斐があった。
仕事が終わり、泊まり込みはなしになった。
すぐに帰ろう。
彼が待っている。
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