×Deep Rose×
□×cat
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“プルルル…”
「…」
“プルルル…”
「…」
“プルル“ガチャ”
「…なんだよ…」
『なんだよとはなんだ。何度かけても出てこない君が悪いのだ。』
「だから…?用は?」
『…仕事が早く終わって、これから帰るのだ。何か買う物があるかと思って。』
「…治療薬売ってないかな…」
『?…治療薬?』
「何でもないよ。…それより…」
『?』
「…帰ってくるな。」
『………………は?』
×cat
暗くて狭い。
しかも、冬だというのになぜか暑い。
心臓がバクバク脈打って、今にも倒れそうだ。
…何でこうなった?
ぼくは夢でも見てるのか?
…恐る恐る、背後にうごめいているものを掴んでみる。
────刹那。
「ッ、んぁ…」
がばっ、と口を押さえる。
さっきの声は、確かにぼくだ。
試しに頬をつねってみると、
「っ痛!!」
…夢じゃ、ないのか。
───て、何度同じ事を繰り返したことか。
なぜか黙っているとすぐに眠くなってしまって、気づくと数分だけ眠っている。
しかもその間自慰をしていて、起きると手や下着、シーツまでが精液まみれ。
その気はさらさらないのに、体が勝手に動いてしまう。
「…っ何なんだよ…」
バンッ、と布団をたたく。
目線を上げると、目の前に鏡。
そこに映る自分の姿。
黒い髪から生える…“耳”
体の後ろにうごめく…“尻尾”
…朝、御剣より遅く起きた。
そして、起きてすぐ見える鏡を見た。
すると…この姿が見えたのだ。
ぼくは半分、猫になってしまったのだ。