×Deep Rose×
□降り注ぐ人工雨、止められた蛇口
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「っく…」
涙が止まらない。
雨と一緒になってしまい
よけい止まることがない。
………ぼくは馬鹿だ。
一時の感情に惑わされて
御剣の事情も理解しようとしないで…
御剣から
逃げた。
…次々と涙が溢れてくる。
なんで御剣はぼくなんかを好きになったんだろう…
こんなぼくなんか……
好きになる価値なんてないよ。
…きっと御剣はぼくの事
嫌いになっただろうな。
…こんな
わがままなぼく。
次々と…嫌な妄想は膨らむ。
根拠も…
証拠もないのに…
…そう、自分に言い聞かせる事ができない。
「…怜侍……」
意味もなく、ぼくは愛している人の名を…呼んだ。
呼ぶ度に
心は
身体は
イバラで締め付けられ、血を流す。
涙という血を…