×Deep Rose×
□甘いクレープと、キミ。
1ページ/9ページ
日々の疲れを忘れ、老若男女が夜を楽しむ。
それが祭だ。
だが、1人だけ気だるい表情をしている者がいた。
「人混みに酔った…」
男はそう言うと、苦虫をかみつぶしたような顔をする。
彼は成歩堂龍一。
彼は、私の恋人。
甘いクレープと、キミ。
「大丈夫か?……少し…休むか?」
「大、丈夫。もう少しでクレープ食べられるし。」
──────夏。
じりじりと暑さが感じられるようになる今の時期、
珍しく今日は近くで祭りがあるらしい。
当然屋台も出るわけで、
成歩堂はその中のクレープを求め私を無理矢理連れてきた。
…だが、先にダウンしかけているのは成歩堂自身のようだ。
「クレープなんか食べたらよけい気持ち悪くなるのではないか?」
「………食べたい。」
止めよう、と言ってみるが成歩堂は全く聞く耳を持たない。