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嫌なら今すぐネクタイを取ればいいだけなのに、そうせずわたわたと両手を動かしているのはやはり彼が馬鹿だからだろうか。



「外すなよ?」

「うぇ……わ、わかった」



自分では外さないとはわかっているけど、念のため。これ外されたら困るからな。
背中から抱きしめると二人分の重みにベッドがぎしりと軋んで、左右田が面白いくらいびくりと震えた。
顔が、真っ赤だ。目隠しプレイが始まるとでも思っているのだろう。



(半分正解だけどな)



もう半分は、不正解。
抱きしめる力を強めて首筋をべろりと舐め、耳に優しく息を吹き掛けてやる。



「左右田くんがクロに決まりました。オシオキを開始します」

「…………え?痛っ!?」



抱いていた背を思い切り突飛ばしてツナギを剥ぎ取……ろうとしたんだけど、これって意外に面倒だったんだな。普段はじっくり脱がせるから問題は無かったけど……今はケツだけ出ればいい。
プレイ内容も考えて側に置いておいたナイフが活きる時が来た。
ジッ、ジッ、と腰の辺りからツナギを横に裂いていく。



「ひっ!?日向!な、何してんだよ!」

「…………」

「んなことしなくても、ぬ、脱ぐし!うう、こ、怖えーよぉ……」

「…………」

「なんとか言えよ日向……日向?なぁ、日向!」

(ううん……)



目隠ししてロクに慣らしもせずちんこぶちこんでヒィヒィ啼かせる、というのが今回のオシオキプランだったのだけれど……よく考えたら最終的には気持ちよくなるしあんまりオシオキにならないんじゃないか……?なんか左右田って痛いのも好きみたいなとこあるし。
プログラムの世界で弐大が死ぬ前に付き合っていたし、他でもない左右田に疑われたということに死んでしまいたいほど絶望したというのに。
なあ左右田。お前はもっと俺のことを考えるべきだよ。



「日向?なぁ……顔、見たいんだけど」



小さく左右田が漏らした一言に、頭の中がスッとしていくのがわかった。
良いこと言うじゃないか、左右田。
四つん這いで裂かれたツナギから派手なパンツを覗かせる彼にそっとのし掛かる。「ひゃっ」だなんて可愛い声出すなよ。
罪悪感が沸くじゃないか。



「なあ左右田……今からお前は誰に抱かれるんだろうな?」

「……へ?な、に言って……お、お前しか居ねーだろ」

「そうか?だってお前、見えないだろ。ああ絶対にそれ、取るなよ?」



首筋にキスを落としながら左右田の口に指を入れると、おずおずと生暖かい舌で舐めてきた。
さあ、左右田。
啼いてくれ。



「俺には見えてるよ。お前を抱こうとしてる奴…………狛枝、だ」

「えっ?なに、言って、ひっ!?ちょ、ひな、あ、や、いたい、いたいぃっ!!」



左右田の唾液で濡らした指を一気に穴へ突っ込んだ。いくら濡らしたとはいえローションほどの粘度なんか無くて、内壁をみちみちと無理矢理押し広げる感覚が伝わる。
ひいひいと息をするのが精一杯といった具合で、とても可愛い。ちゅう、と尻にキスをしてカチャカチャと自分のズボンを下ろした。
もう充分に張りつめた自分それをぴたりと穴に押し当てると、「ひっ!?、や、嘘……無理、まだ、無理だって……!」とか言いながら手をぱたぱたさせている。
……可愛いすぎだ、馬鹿。
バックの体勢で再び左右田の耳を甘咬みしながら、しっかりと伝える。



「ボクなんかで申し訳ないけど、頑張って気持ちよくさせるよ……左右田、クン」

「あっ!?な、なん、で、こま、え、っあ゙あ゙ああああっ!!」



モノマネかと言われると正直、全く似ていない。似せる気も無いし、似ていなくてもいいのだ。ただ「狛枝に抱かれている」という認識さえしてもらえれば、それで。
ロクに慣らしていない男の穴は、気持ちいいとは程遠いただのキツすぎる締め付けだった。異物を押し出そうとする力が直に加わってうまくピストンできない。……まあ、この方がいいよな。
オシオキなんだから。



「……ごめんね左右田クン、ボク慣れてなくて。でもすごく気持ちいいよ。早くキミにも気持ちよくなってほしいなぁ……」

「ああっ……い゙、うっ……やめ、ろぉっ……こまえ、っだ……!」



……ああ、やっぱり馬鹿だ。
視界を奪って少し興奮させただけでしっかり暗示にかかっているようだ。シーツをきつく握り締め、声が漏れないように唇をきつく噛んでいる。ああああほら、シーツに血がついちゃってる。



「ダメだよ唇を噛んじゃあ……もっと声、聞かせてよ……噛まないでね」

「ひっ……ゆび、やらぁ、っ……あ゙あああああっ!!」



唇を噛まないように指を三本左右田の口腔に突っ込む。「指を噛むな」という命令を素直に聞いているらしく、だらしなく口をあけて喘ぎだした。
喘ぐというか嗚咽というか……とにかく、最高の眺めだった。
俺に咎められ泣く左右田、狛枝に犯され喚く左右田。




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