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(絶景、だな)



傷みきったピンク色の長い髪はぼさぼさになって涙と涎まみれの顔にまとわりついている。無理矢理開かせた口からは絶え間なく涎が出てシーツに大きなシミをいくつも作っていて、もうぐしゃぐしゃだ。
ギチギチと締め付けてばかりの穴は正直何の快感ももたらさない、が―――――射精まで行ってこそセックスであると日頃から思っているし、繰り返すが何よりこれはオシオキだ。
出されるのは狛枝の精液、ということになる。
なら、頑張らないと。
意識を集中させて、今までの左右田とのセックスを思い出す。初めてした時は痛いとか苦しいとか吐くとかそんなことしか言わなくて思わず萎え―――――おっとダメだ。えーっと、そういえば資料室でした時は興奮したな。隣の部屋には苗木達が居て、いつ資料を取りに来るかわからないあのスリルと嫌だ嫌だと言いながらいつも以上に感じて、でも声は出せない左右田…………あ、イきそう。
あれだ、ここはレイプ物AVで定番のヤツをやる時が来たんじゃないか?



「左右田クン、ボクもうイきそうだよ……中に出して、イイよね?」



ぐちっと結合部を掻き回すとだらしない声と「え、や、え?ゴム……」なんて情けない声が上がった。
俺が左右田とする時は、必ずゴムを着けていた。まあそれがセーフティルールだと思っているし、不満に思ったことも無い。
でも今回は、左右田を絶望させてあげるためのセックスだから、さ。
中出しは必須だと思うわけだ。
未だに戸惑う左右田を無視して射精するためにピストンを速めると、やっと焦った声が聞こえてきた。



「やめろ!や、あ、あ、んっ、やめて、くれ、はぁっ……中、やだっ……!」

「どうして?もう左右田クンも気持ちいいでしょ?もっと気持ちよくなろうよ」

「ひぃ、いっや、だっ……抜けよ、も、やめろ……!」

「…………」



なぜか今本気の抵抗をしてくる左右田に、少し冷めてきた。腰を振って俺の……もとい狛枝のモノから抜け出そうとしている。その姿が酷く滑稽で―――――



(苛々する、な)



狛枝に犯されて、でも気持ちよくなって、我慢できずに泣き叫びながらイけばいいのに。抵抗を止めない左右田の腰を掴んで一気に突き上げる。



「あ゙あ゙っ!!やだ、やだやだやだ……やめ、たすけ、あ、ひ、な、たぁ……」

「…………へ?」

「やだぁ……生、日向としてない、のにぃっ……やだ、ぬいてぇ……ひなた、ひなたあぁ……」



喘ぎ声はいつの間にか本格的な泣き声に変わっていた。ネクタイもぐしょぐしょで鼻水も垂れている。
……その、名前を連呼するのは卑怯だ、と思う。俺と生でしたことが無いから嫌だ、と懸命に俺の名前を呼ぶその姿に何も感じないわけが無いのに。



(甘い、な)



甘い、甘すぎるよ!角砂糖よりも甘い!
なんてモノクマの声が聞こえてくるようだった。
はぁ、と溜め息を吐いてそっと左右田から萎え気味のモノを抜くと安心したように「ふあぁ……」と声を漏らす。そのままくるりと反転させて仰向けにして股を開くとすぐに顔がひきつって抵抗しようとした。



「……左右田、俺だよ」

「っあ……ひ、なた?」

「うん。……抱いていいか?」

「あっ、え、い、いいけどよ……これ、取ってほしい」



そう言いながら両手を目隠しネクタイに持っていくのをぱしりと掴んで、指を絡ませてシーツに張り付けた。



「だーめ。オシオキだって言っただろ?……中途半端だけど悔しいからそれはそのまま、な」

「ええっ……うぅ……けど、日向なら、いっか」



へへ、なんて心底安心したような声で笑う。
馬鹿正直だな。大好きだ。
さて、仰向けにさせて気付いたんだが……さっき俺は左右田のツナギの後ろの腰部分を裂いたわけだ。よって、前部分は普通のままなわけで。

チャックを下ろしてツナギを脱がせてやる
>チャックはそのままケツを上にあげてぶちこむ



(そりゃ後者一択だろ)

「ひなた……?ひいっ、お、おい日向、ツナギ脱ぎた」

「だめー」

「嘘ぉっ!?い、ぁぅ、恥ずかしっ……んんっ!」

「お前見えないだろ、いいじゃん。俺は見たい」

「んなっ……だっ……うぉお……」



膝を抱えて挿入すると、少しだけ拡がったがやはりキツい。どうしようか、やはりローションとゴム必須だなと考えを巡らせていると、がっと腰を掴まれた……左右田の両足で。
何の遊びかと思っていると、更にぐいぐい足で締め付けてくる。痛い痛い痛い、二重の意味で!



「オシオキ、なんだろ……いい、から、はやくこいって……!」

「……っは、わかったよ」



俺も痛い。お前も痛い。
オシオキって、きっとこいいうことなんだろうな。
込み上げる射精感に身を任せて腰を突き上げると、左右田のくぐもった声が聴覚を刺激する。早く、早く、出せ、出してしまえ、終わらせろ。



「っあ、出る……ほどけよ馬鹿」

「い・や・だ・ね……出せよっ……うっあ」

「んな……っぐ…………出た」

「っ〜〜……は、やば、これ、イイかも……」



何がイイんだ。
人のこと変態とか言うわりに実は左右田も相当なんじゃないかと思う。
とりあえず出すものは出したので向かい合うようにベッドにどさりと横になる。
だるい。このまま眠ってしまいたい。そういえば左右田イかせてやれなかったな。
手を伸ばしてぐしょぐしょのネクタイを引き上げてやると、まだぼたぼたと涙が流れていた。どんだけ出るんだよ。
目を閉じる前に何とか伝えなければ、とだるい口を開いた。



「好きだ、から」

「うん」

「疑われて、本当に辛かった」

「……うん」

「ごめん」

「なんで日向が謝るんだよ……悪いのオレだし、それに……」

「なんだよ」

「笑わねぇ?」

「ああ」

「怒らねぇ?」

「内容によるな」



たまには、こういうのもイイな。
なんてまだ泣きながらちょっとニヤつきながら言うもんだから、思い切り両頬を可能な限り伸ばしてやった。





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