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□愛、される
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「あっ、ふあ、日向く、ボクもう……あっ!」

「勝手にイけよ。あとはこっちで動かすから」



ベッドの上、四つん這いで頭を捕まれ後ろから日向に突き上げられて、狛枝は射精した。もう随分前から前を弄らなくても射精出来るようになってしまった狛枝を見て「変態だな」なんて言いながら突くのをやめる気配は無い。
狛枝としてはイった後は身体中痛いくらい敏感になっているのだから、少しくらい休ませてくれてもいいんじゃないかと思うのだけれど、そんなのはお構い無しだ。
何十回も突いてやっと日向が射精したようで、どろりとした感触が中に広がった。



「はー……疲れた」

「……それセックス直後に言う?」

「うるさい」

「うわ、賢者タイムだよ……ひどいなぁ」



日向は抜いたものをティッシュでさっと拭うと狛枝に背を向けて横になった。抱きしめるとかキスをするとかの後戯は一切無い。加えて言うと、前戯も無い。あらかじめ狛枝が自分で中をほぐして、あとは突っ込むだけだ。呼吸が深くなった日向の背中を見て、思う。



(虚しい……かな)





『日向クンのことが、好きです』



一世一代の勇気を振り絞った告白の返事は『面倒くさい』だった。

日向創は、誠実な人柄である。明るく真面目で頼りになる、誰からも好かれ誰をも愛せる人物。それが狛枝を含めた周囲の認識だった。そんな彼にあっという間に魅了され、どうしようもなくなって恋心を伝えた時の日向の表情は、一生忘れないだろう。
侮蔑、嫌悪。彼には似つかわしくない負の感情が痛いほど伝わってきた。
あまりの変貌ぶりに驚愕したものの、それでも日向から離れることだけは嫌で、みっともなくすがって。少し間があいて『セフレにでもなる?』とからかうように問われた言葉に頷いてしまったのだった。

それから、日向が「するか」といえば洗浄と下準備をして尻を向けて待つのが流れになった。なんだか視界がぼやけてきたような気がする。

自分は、日向とこうなりたかったはずだ。でも、なぜ、胸が苦しいのだろう。
その答えは狛枝には、わからなかった。

また、夜は繰り返す





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