親ばかと子ども達
□火神家の日常
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火神家の朝
この家の朝はとても騒々しい。
この家のある意味、主な、黒子、現在は火神テツヤは4人分の朝食を作っていた。すると、彼の最愛の夫、火神大我がやってきた。
『ふぁぁぁ〜……』
『おはようございます、大我君』
『おぅ』
火神は、黒子の側まで寄ると、
『今日の朝飯何だ?』
『食パンと目玉焼きとベーコンとサラダですよ』
『足りねー』
『知ってます、大我君には別にいくつか用意しています』
『さすが、テツヤ』
そういって彼は、黒子を抱き締めた。
『大我君?』
『2人が起きてねぇ朝なら、気にすることもねーだろ』
そういって、彼が黒子に顔を近付け、後1pというところで、
『大我ぁぁぁぁぁぁぁ!!』
火神の腹にドロップキックがめり込んだ。
『うぉっ!?……痛ってぇな、ヒカリ!』
ドロップキックをお見舞いした主は何を隠そう、火神家長女のヒカリでした。
『朝から盛るなよ、大我!ママが可哀想だろーが!』
『別に良いじゃねーか!お前らがいっつも邪魔するから、2人きりの時くらい自由にさせろ!』
ドロップキックの痛みからなんとか脱した火神は不満ありありな顔で抗議する。
『起きてなくても、子ども居るんだから気使え!それに、そろそろよい子は起きる時間だっ!』
『なにがよい子だっ!もうちょい遅く起きろ!』
『学校遅れるわっ』
そんな光景はいつものことのように見守っていた黒子ママは、見兼ねたように、
『ヒカリ、おはようございます。顔を洗って着替えて下さい。もうすぐ朝食ができますから。』
すると、ヒカリは態度急変。
『はーい♪』
そそくさと、洗面所へ向かって行った。
それを苦い顔で火神は見ながら、
『ったく、いつも邪魔しやがって…』
『元気があって良いじゃないですか。』
『ありすぎるんだっ』
『はいはい。
さて、僕は朝食作りに戻ります。大我君も顔、洗って来て下さい。』
『了解。でも、その前に……』
火神は黒子の顎を持ち上げ、こちらに引き寄せ後5oというところで、
『おはようございます、朝からお盛んですね父さん、母さん』
『うぉっ!?』
横からいきなり声をかけてきたのは、ヒカリの弟で、長男、カゲトだった。
カゲトは黒子同様、影が薄かった。
『おはようございます、カゲト。ヒカリはもう起きてますよ。早く支度しなさい。』
『はい。』
カゲトはすっと自分の部屋の方へと向かって行った。
『なんなんだよ、うちの子ども達は……』
と、火神は完全に拗ねてしまっている。
はぁ、っと黒子がため息を着いた数秒後、火神の真ん前に黒子は居た。
その距離、0。
離れた後、黒子は微笑むと、
『機嫌、直りましたか?』
数秒固まっていた火神だが、すぐに、満面の笑みで、
『おぅっ!』
それを子ども達は物陰から観察していた。
『うちの親はどうして、こうもラブラブなんだか……』
ヒカリがため息を付いた後、
『幸せそうだし、良いじゃないですか、姉さん』
とカゲトは微笑んだ。
火神家の朝は、喧騒と幸せに満ちている。