親ばかと子ども達
□赤司家の日常
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赤司家の朝
赤司家の主はものすごく恐ろしい。
普段は、そこまででは無いが、俗に“オヤコロ”と呼ばれているらしいスキルを発動した場合にのみとてつもなく恐ろしくなってしまう。
朝、皆のオカン、な、実渕、現在は赤司玲央が朝食を作っていた。
すると、赤司家の主、赤司征十郎が起きてきた。
流石、もう着替えて準備は万端だ。
『あら、おはよう、征ちゃん』
実渕が振り返ると、
『おはよう、玲央』
赤司は微笑みながら、返した。
挨拶が終わると、直ぐに実渕は料理を再開し始めた。すると、
『気に入らないな』
赤司が急に不機嫌になりだした。
そして、実渕を抱き締めた。
『あら、どうしたの、征ちゃん?』
実渕は、振り返らず手を動かしながら、赤司に訊ねた。
『…………気に入らない。せっかく2人きりになったのに、どうしてそうそっけないんだ?』
『だって、ご飯作らないといけないじゃない』
すると更に、赤司は機嫌を悪くした。
そして、抱き締める手を強めた。
『痛いわよ?』
『好きだ』
唐突に赤司はそんな言葉を放った。
『だから、振り向いて僕を見ろ』
『それ、命令なの?』
実渕はかすかに微笑んで、振り向いた。
『これで良いの?』
『足りないな』
そういって赤司は実渕の額にキスをした。
『流石に息子の前ではこれが限度かな?』
赤司は、階段の方を振り向いた。
そこには、赤司家長男、赤司征弥が居た。
『すみません、なんか行こうにも行けず……
おはようございます、お父さん、お母さん』
苦笑しながら、2人の前に出てきた。
『まぁ、おかげで、2人きりにはなれたから、感謝はしているよ。
それで、玲那はどうした?』
『起きているわけ、ないでしょう……(ため息』
『やっぱりか……(ため息』
2人が話しているのは、赤司家長女で、征弥の妹、赤司玲那のことである。
『征ちゃん、起こしてきてくれる?』
『分かった』
赤司は玲那の部屋へ向かうべく、2階へ上がった。
玲那の部屋の前に立つと、ドアをノックした。
『玲那、起きているかい?』
部屋からの返事は無い。
『はぁ………入るよ』
ドアを開け、中に入ると、なんとも寝相の悪い娘の姿があった。
『起きなさいっ!』
布団を剥がすとようやく、目が覚めたようだ。
『ん〜……後、五分……』
『ダメだ』
そして、ムクッと玲那は体を起こした。
『おはよーございます、お父さん』
まだ完全に目が覚めていない、娘に嘆息しながら、苦笑した。
この家は娘のおかげで、微妙にゆるかったりする。