親ばかと子ども達

□火神家の日曜日
1ページ/1ページ

火神さん家のお買い物


日曜日、一家全員休みな日。
皆で、デパートまで買い物に行くことになった。


『母さん、何買うんですか?』

そう、訊ねたのは、カゲト。

『夕食の材料と、後は、ヒカリが欲しいと言っていた洋服を見に行ったり……後は、適当に回りながら良いものがあれば、買おうかと』

黒子はデパートの中を見回しながら、カゲトに言った。

『やったー!!
ママ大好きぃ!』

そういって、ヒカリは黒子に抱きついた。

『ヒカリっ!
何、テツヤに抱きついてんだよ!!』

そんな様子を見ていた火神が突如そんなことを言い出した。

『はぁ?ママはお前のじゃねーんだから、良いだろーが!!』

『何なんだよ、その態度の差はっ!
第一、テツヤはお前のモノでもねーよ!』

『それくらいわかってますけど?
だからって、大我みてーな独占欲の塊で実の娘にまで嫉妬するよーな奴のモノにだけは、ママもなりたくないんじゃない?
ねぇ、ママ?』

ヒカリが、黒子の方に向き、返事を聞こうとすれば、そこに既に黒子の姿は無かった。

『『は?』』

ヒカリと火神の声が思わずそろった。そして、居ない=ヤバい、という方程式に行き着いた2人は慌てはじめた。

『は!?
ちょっ、テツヤは何処行った?』

『知らねーよ!
ってか、カゲトも居ねー!?』

こうして、火神家の買い物は2人の捜索から、始まった。



〜一方その頃の黒子とカゲト〜

2人を置いてきた、ということに気付いたのは、カゲトだった。

『母さん、父さんと姉さん、置いてきてしまったみたいなんですが………』

周りを見て探しながら、カゲトが言うと、

『構いませんよ。
たまには、父娘で買い物も良いでしょう』

『でも、あの2人ですよ?』

『大丈夫です。
あれでも親子ですから』

妙に自信たっぷりに黒子が言うと、カゲトは頭に“?”を浮かべていた。
そして、カゲトはふと思ったことを口に出してみた。

『父娘、水いらずの前に、僕らを探すんじゃないでしょうか?
流石に何も言わずに来てしまったら、心配するんじゃ……』

最後の方は声を小さくしながら言えば、黒子は少し顔が青ざめてしまった。
そして、

『連絡くらいはしておきましょうか……』

『そうですね…』



〜一方その頃の火神とヒカリ〜


『お?テツヤからメールだ!!』

そう火神が叫ぶと、ヒカリも直ぐに火神の携帯を覗き込んだ。

メールの内容はというと、
━━━━━━━━━━━━
From テツヤ
Title ごめんなさい
━━━━━━━━━━━━
勝手にいなくなってしまってごめんなさい。
カゲトと2人で買い物しているので、大丈夫です。

なので、ヒカリとその辺回ってて下さい。

━━━━━━━━━━━━

とのことだった。

『はっ!?
ちょっ、ママ!?
私の服は!?』

ヒカリが火神の携帯を奪い取り、そう返信すると、

━━━━━━━━━━━━
From テツヤ
Title 大我君に買ってもらって下さい

━━━━━━━━━━━━

と、本文無しで返ってきた。


『何で俺がお前の服買わなきゃならねーんだよっ!』

と、メールの内容がようやく全て飲み込めた、火神が叫べば、

『私だって、大我になんて買ってもらいたくねーわっ!』

と、いつものように喧嘩してしまった。

『…………とにかく、どうすんだよ。
テツヤとカゲトは無事だ。別に探す必要も無くなったしな』

と、火神が少し冷静になって言えば、

『………そうだな。
ママがメールに書いてた通り、たまには、2人で回ってみる?』

『たまには良いか』

と、2人で歩き始めた。

『あ、勿論、服は買ってよな〜』

『は!?』



〜なんだかんだで2時間後〜


取り敢えず、二組は合流した。

『すみません、置いていってしまって』

直に黒子が謝れば、

『気にしないで、ママ!
服は大我が買ってくれたし、その後も結構楽しかったし!
な、大我!!』

満足気な顔で、火神に問えば、

『あ、あぁ、そうだな』

と、何やらお疲れモードである。

『そうですか、それは良かった』

と、黒子は微笑んだ。

『テツヤ達の方はどうだったんだよ?』

と、火神は疲れながらも聞いた。

『こちらもこちらで、楽しかったですよ』

と、黒子とカゲトは顔を見合せて笑った。

『双方充実して過ごせたなら良かったじゃないですか』

笑ったまま、カゲトが言えば、

全員が、それぞれ同意した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ