Real-Matrix ミニ番外編集
1ページ/5ページ

#1 ミネルヴァモンの日常 前半(2016/3/7〜4/2まで公開)

 「佐伯さん、アタシ外でお買い物してみたーい。ショッピングモール行きたーい」

 開口一番、オペレーションルームのドアを開けるなり、ミネルヴァモンはそうごねた。

 ひょんなことでアクセスポイントを通ってリアルワールドに辿り着き、此処に居住まっている少女の姿をしたデジモン。

 なりは起伏に乏しいちんちくりんな体型の少女だが、これでも謎の多い勢力「オリンポス十二神族」の一角を担う神人型という高位の存在である。

 「何だ藪から棒に・・・・・・」

 キーボードを打ちながら、佐伯は顔だけ闖入者の方に向けて、怪訝な目で見やった。きっちり着込んだスーツと撫でつけた黒髪が印象的な精悍な青年だ。

 本当に藪から棒すぎる。

 てっきりこの脳筋は、打倒ヴァルキリモン――ロイヤルナイツの補佐的存在であり、現在は此処に常駐している“先輩”だ――しか頭にないものとばかり思っていたが、年頃の女の子のようなことを考える容量が余分にあったのか。結構な衝撃である。

 そんな佐伯の心持ちなど知らず、ミネルヴァモンは浮ついた調子で喋り始めた。

 「リアルワールドには楽しいお店がいっぱいあるって聞いたんだもん。お洋服でしょ、アクセサリーでしょ、お化粧でしょ、お菓子でしょ、漫画でしょ、占いでしょ・・・・・・うふふ」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ