EVO:Astraight
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1 目を覚ますと、目の前には知らない天井……ではなく、デジタルの空があった。何と、貴方はデジタルワールドに来てしまったようだ……貴方はふと、自分の体に違和感を感じます。すぐそこにある湖へ向かい、自分の体を見ると、そこに居たのは……!?
 尚、成長期限定です。

 
 身長は、人間でいう幼稚園児程度にまで後退していた。皮膚は黄色く、爬虫類の鱗のようなもので均一に全身を覆っていた。というより――姿が爬虫類そのものであった。手足の爪は硬く鋭く、その大きさといったら獣のそれに等しかった。地を踏み締める足の力強さは人間の頃の比ではなく、俺は自分でも地を踏み抜いてしまうのではないかというように思われた。
 実際、一番驚くべき変容を遂げていたのは眼の方だったかも知れない。元々若干茶色がかっていた俺の黒い瞳は――濁りのない、澄んだペリドットに美しく変身していたのだ。
 
 俺はこのモンスターをよく知っていた。いや、俺だけでなく、デジタルモンスターについて知っている者なら、殆ど全員が知っているだろう――
 
 ――俺は、アグモンになっていた。


 2 貴方は自分の使命も分からぬまま旅を続けていると、突然目の前にデビドラモンが現れました。デビドラモンの方をよく見ると、プロットモンを襲っているようです。貴方はどうしますか?


 デジモンは戦闘種族……攻撃と破壊こそ生きる目的、本能! あれだって。それに従っているだけのごくごく自然な営みではないか。弱肉強食――生き残るのは強者のみ、弱者は喰われるだけ。何一つおかしい事はない。それに現実世界とて同じではないか。食物連鎖の世界。残虐だと、誹る権利など何処にもありはしない――それによって誰もが生を繋ぎ止めているから。狩人と獲物、その関係に割って入る義務も有りはしないし、況してや良心の呵責もない。
 
 ――だが此処で、俺ははたと思った。

 狩る者とて狩られる者となる。頂点に立つ者が、やがて老いの内に潰えていくまで、食物連鎖は連綿と続く。
 即ち、此処での狩人――デビドラモンを、俺の獲物にしてみるのもいいのではないか?
 危険で蠱惑的なこの考えにすっかり俺は魅了され、それに身を任せた。即ち現場に近寄った。


 3 貴方は意を決してデビドラモンに立ち向かうが、赤い瞳に睨まれて動けなくなり、その爪で体に深い傷を負ってしまう。その後、尻尾で押さえつけられ、意識が朦朧となる。貴方は……

 
 格好が付かないとはこの事だ。狩人を俺の獲物にするなどと粋がったことを言っておきながら……結局は、あのプロットモンと同じように、獲物の立場に甘んじようとしているとは。
 恥辱と矛盾、一貫しないこと、俺はそれらを軽蔑し、心から忌み嫌う! 自分がそれに塗れるなど、もってのほか!
 俺に本懐を遂げさせろ。貴様を獲物にするという本意をな。俺の言葉を一貫させろ――俺に力を!!!

 
 4 生と死の狭間。突如貴方の体を構築するデータが再構築、上書きされ、貴方は成熟期へと進化しました。その姿は……!!


 EVOLUTION TO LEVEL:ADULT!

『アグモン進化――グレイモン!!!!!』
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