Real-Matrix ミニ番外編集
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 口元をだらしなく緩めながら両手の指を一本ずつ折っていく少女。何やら想像しているらしい。
 
 当然ながら人間の女の子の友人などいないので、大方インターネットで情報を仕入れたのだろう。

 とりあえず、彼女が自分に何を求めているのかは手に取るように分かる。

 「つまり人間の恰好をして街に出掛けたいというわけだな」

 「さすが佐伯さん、話が早い! 出来るよね!?」

 「ああ。待っていろ」

 はしゃぐミネルヴァモンに対し、佐伯は当然とばかりにやや素っ気なく返す。顔を再びまっすぐ向けると、手元の引き出しを開け、USBメモリに似た青い端末を取り出した。
 
 何だ何だとミネルヴァモンが見守っている間に、作業は流れるように進んでいった。端末の側面のつまみを軽くスライドさせて端子を出し、ディスプレイの下部に設けられたポートに差し込む。 
 そしてしばらくキーボードを操作すると、再び端子を抜く。
 以上。所要時間、十数秒。

 「ほら、出来たぞ」

 これには流石のミネルヴァモンも驚愕した。ぽかんと口を開けて端末をこちら側に向ける佐伯を見つめる。

 ――いくら何でも早すぎない? 何の操作がされていたのかちんぷんかんぷんだけど、女の子のお洋服って結構造りがめんどくさいものばっかじゃないの? 

 あ、もしかして適当にされた? 原始人みたいな服にされた? 佐伯さん男の人だし有り得るかも・・・・・・?――
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