Real-Matrix ミニ番外編集
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 淡い水色のパーカー、それに付属した目深に被るフード。パーカーの下にはモノクロとオレンジの幅広ストライプのTシャツを着込み、ボトムスは快活な印象の白いショートパンツ。腰には小さめで緑の水玉模様が付いたポーチをしている。

 何処から見ても、普通の女の子である。

 「やったね!」

 「ほら、小遣いだ。それで思い切り楽しんでこい」

 佐伯が財布から裸の千円札を出してやると、ミネルヴァモンは素早くそれを奪い取るようにして掴んだ。

 「うふふ、大金がこの手に・・・・・・!豪遊豪遊〜!」

 破れそうな程に広げてじっと眺めたり、裏返したり、頭上に掲げて透かし見たり、畳んで頬ずりしたり、千円札を弄ぶ。

 我が子の成長を見るような慈愛と微笑ましさと呆れが三等分ずつ混じった視線で、佐伯は水色パーカーの少女を眺めやった。

 一通り千円札で遊んだあと、ミネルヴァモンは腰の小型ポーチにそれをしまい、脱兎の如く駆けだした。

 「行ってきます!」

 「こら、気を付けなさい! 走るんじゃない!」

 親の口調で佐伯が注意したときには、既に水色パーカーの少女の姿は何処にもなかった。が、間もなく部屋の外で激しい衝突音が聞こえたので、佐伯は額に手をやって溜息を吐いた。
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