□EVO:Astraight
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5 デビドラモンを倒し、更に旅を続けると、泊まりかけの村が今度はスカルグレイモン(狂気)に襲われてしまいます。貴方は村を救うために奮闘しますが、スカルグレイモンは必殺技【グラウンド・ゼロ】を放ち……村を焦土に変えてしまいます。皮肉な運命か貴方だけは生き残り、貴方の周りには死んだデジモンの物でしょうか、デジタマが残っています。貴方は……
許されていいのは、正義の名を掲げた粛清、そして――食糧を手に入れる為の、狩りだけだ。
怒り? 狂気? 非合理な破壊行為――それは決して、この俺の合理性が許さない。何より、デジタルワールドが許さない。
スカルグレイモン、奴を俺は許すまい。奴は殺した相手をロードもせず、データの屑にしただけだった。喰わなかった!命を無駄にした――それも大量の! これからも続いていくはずだった食物連鎖の自然な繋がりを、奴がその手で引き裂いたのだ!
6 罪無きデジモン達の暮らしていた村を滅ぼされた怒りで、貴方の体から【闇】のエネルギーが出現。それが貴方の全身を覆っていき、貴方の姿を変えていきます。その姿は……
EVOLUTION TO LEVEL:PERFECT "ASTRAY"...
俺は自分の胸元に目を落とした。そして、嗤った。
何という巡り合わせか、運命の悪戯か! 今やこの俺も、あいつと同じ姿になったのだ。知っているぞ、それが何を意味するのか――血肉を失っても尚! 衝動に身を任せ力のままに破壊を繰り返す、殺戮の権現となったのだ!
俺も、スカルグレイモンとなった!
際限なく怒りが湧いてくる――食物連鎖を無為にずたずたにされた事への。「単なる」惨殺という、大義なき行為を成された事への。そして――名状しがたき理由によって。
目が盲くなってくる――暗雲が天を覆うように。これは何なのか――怒りだ! 理性の目を眩ませ、煮えたぎるように血を沸かす怒り。
それは意識を奪い去る、抵抗すべきものか? 否――そうではない。寧ろ意識を心地好く満たす、水のようなものだ。
流されてやろう――俺の意識に満ちて行く水に。怒りに身を任せよう。
7 貴方は暗黒進化を果たし、スカルグレイモンを倒しました。しかし、進化の反動なのか成長期まで一気に退化してしまい、思わず地面に膝をつきます。そして……
――俺は間違っていたのだ。
俺の主義はこうだ。破壊が許されるのは、正義の名の下に粛清を行う場合と、食糧を得る為の狩りを行う場合のみ。
それに反すると、俺は奴を――スカルグレイモンを糾弾した。奴をデリートする事にその意を表明した。だが実際には――俺は! ただ怒りに身を任せただけだったのだ。冷然とした正義を最初は掲げながら、それを忘れ、怒りに結局は流されただけだったのだ。姿だけでなく、その実体も同じようなものだったのだ!
怒りを根源とする破壊! 俺が自ら蔑み否定する筋のものではないか。何と皮肉で、矛盾したこの事実! 俺は自分で自分に反した。
同時に、俺は気付かざるを得なかった。村のデジモン達が虐殺された事に対し、何故怒りを覚えたのか。思わず唾を吐きかけたくなるような、甘っちょろい偽善からではないことは明白だ。ならば何か。知れた事――あのデジモン達が俺の将来の餌になるかも知れなかった可能性、それが綺麗さっぱり断たれてしまった事に対して怒っているのだ。
独善的? エゴイズム? そんな批難を受けようが――甘んじてやる。俺自身認めているのだから……まさしくエゴイストであると。だが、誰が否定出来る? 照明など出来ようか? 己がエゴイストで無い事を。
とにかく言えるのは――節理は俺を制裁したという事実――抗いもせず、容易く矛盾に陥った俺を制裁したという事実!
その結果がこうだ――そういう事だ。