Matrix-1
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 レベルについては、デジモンを直に知っているのは僅かに二体――即ちドルモンとデビドラモンだけなので、子供と大人という段階が広汎に言えるかどうかは現時点では不明だ。デビドラモンはAdultであったのでChildはドルモンだという事になるが、先程こっそり採ってみたドルモンのデータは、

 『Name - DORUmon
  Level - Child
  Type - Beast
  Attribute - Data』

 というものであった。
 まだドルモンに成長の余地があるという事の表れなのであろうか? テイマーというものは要するに、発展途上段階にあるデジモンと共に戦いながら成長の手伝いをする者の事であるのだろうか? 
 また、ドルモンのアルファベット表記の「ドル」の部分が何故大文字表記なのかという疑問も残るが、熟慮しても現時点では解答に漕ぎ着けないと思われるので、それについて龍輝はあまり気にしない事にしておいた。

 また、上記の一般的な事柄に加えて、ドルモンという個体に目一杯フォーカスして見えた事柄を列挙すると。

 ドルモンは、ロードナイトモンというデジモンに、数年間育てられていた。

 このロードナイトモンというのはデジタルワールドの守護の座にある“ロイヤルナイツ”という大変誉れある集団に所属していた。平たく言うと「凄いデジモン」であった。

 暮らしていたのは、遥か天空に浮かぶ庭園世界で、その中心に聳え立つ壮麗な城だった。そこから出た事は、今まで一度も無かったとの事。

 ドルモンには何やら絶大な力が秘められており、それを以てデジタルワールドの危機を救うために、此処リアルワールドのテイマーの元へ派遣された。よってテイマーにはドルモンの潜在能力を最大限まで引き出す義務があるらしい。

 育ての親であるロードナイトモンは、ドルモンをリアルワールドに連れて行く途中で「リリスモン」というデジタルワールドの七大魔王という大変恐ろしい集団の一員に殺されてしまう。ドルモンはロードナイトモンのお陰で無事に逃げおおせたが、心に度しがたく深い傷を負ってしまった。

 突如として交差点に出現したデビドラモンは、そのリリスモンがドルモンを抹殺するために送り込んできた刺客であった可能性があるらしい。ドルモンは相手が自分が龍輝の家に潜伏している事を発見し、家を壊しに来るかも知れなかったので、それを防ぐために窓を開けて外へ出たのだとか。
 
 また、デジタルワールドには独自の文字が存在する。しかし、ドルモンと日本語で会話が普通に出来ている事から、その文字は日本語に対応している可能性が極めて高い。更に、デジヴァイスの表示文字は英語であるので、英語にも対応しているかも知れない。此処から述べられるのは、デジタルワールドとリアルワールドは深い関係性を持つはずだという事だ。
 
 文字の件はひとまず忘れて、ドルモンに纏わる話を整理すると、非常にえらい事になっているようだと龍輝は頭を抱える。

 空中庭園だとかはファンタジー過ぎるし、ロイヤルナイツとか、七大魔王とかも勿論ファンタジー過ぎるが、名前を聞くだけで何か背筋を悪寒が駆け抜けるようなものがある。特に七大魔王。それがドルモンを亡き者にしようとしているのだとしたら、その保護者である自分の命も必然的に危ない事になる。
 
 そうは言っても龍輝は無責任な男ではない。それどころか責任が服を着て歩いているような男だ。ドルモンを見捨てるような真似は未来永劫、金輪際しない。だからこそ頭が痛いのだが。
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