BLEACH 中編・長編

□4.旅禍の少年
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死神能力譲渡と滞在超過の罪で尸魂界へ強制送還されたルキアを助けるべく、死神代行となった黒崎一護とその仲間、井上織姫、石田雨竜、茶渡泰虎、そして織姫と茶渡達に力の使い方を教えてくれた喋る黒猫の夜一が今瀞霊廷へ侵入をしようと門前へ居た。


瀞霊廷を囲む青流門、白道門、朱洼門、黒隆門の4つの門があり、それ以外からは霊圧を吸収する特殊な鉱石で作られた白い壁が立ち並び侵入を防いでいる。上空からはがら空きに見えるがこの石の断面にも霊圧遮断効果はある為、球状の結界で覆われているのだ。


そんな4つの門には豪傑な門番が居り、一護は先程白道門の門番である兕丹坊を倒した。負けた門番は門を開けるのが常識と、その巨体を遥かに越える門を持ち上げ開けた。


「あらら。門番は門を開ける為に居てはるんちゃうやろ」


声が聞こえた直後、兕丹坊の右腕がザッパリと深く切られた。だが、その切った本人と思われる声の主であるギンは斬魄刀の届く範囲に居ない。突然の襲撃に一護達は臨戦態勢に入る。だが夜一はギンを知っており、圧倒的な霊圧も感じ取り、ここは退却すべきと言うが、一護は寧ろ前へ行く。


「誰だテメェ。いきなり斬りかかりやがって!兕丹坊はテメェらの仲間だろうが!」


「仲間ゆうても門番が旅禍の手助けするゆう事は裏切り同然や。寧ろここで消さなあかんぐらいや」


「何だとっ」


「やめんか一護!そやつは危険じゃ!」


夜一からギンの実力を聞いた織姫達も一護を呼び止めようとするが、それでも下がらない。ここで下がったら兕丹坊が切られても耐えている意味が無くなってしまう。一か八か。一護は斬魄刀…斬月でギンに斬りかかった。


ー!!


それは意図も簡単に素手で受け止められた。だがそれを受け止めたのはギンでは無く翠だった。翠を見た瞬間一護は至極驚いた表情をしたが、翠は斬月を掴んだまま首を傾げていた。


「市丸隊長、このオレンジ頭海燕さんに似てません?もしかして海燕さんの弟ですか?」


「ボクに聞かれてもなぁ。確かにちびっと似とるけど聞いた事あらへんよ?他人の空似ゆうやつやろ」


「ドッペルゲンガー的なやつだったら海燕さんの命が危ないですね。始末しておきます?」


「始末の理由それかいな」


和気藹々と話す2人を他所に一護は斬月を必至に抜こうとするがびくともしなかった。


(クッソッ!何で動かねぇんだ!それに…)


真っ直ぐ見上げてくる翠を見下ろすと意を決して声をかけた。


「お前6年前に俺と会った事あるよな?川岸で」


「?…6年前…」


そう言われて一護の顔をじっくり見詰める翠。そして思い出す。6年前1度だけ現世に行った時に偶然出会ったオレンジ色の髪の少年を。思い出した事で斬月を掴んでいた手を離し少し驚いたように指を指してきた。


「あの時の可愛い泣き虫少年か!随分とおっきくなったね」


「可愛いと泣き虫は余計だっ」


「えー?だってボロボロメソメソ泣いてたじゃん。可愛い泣き顔だったよ。今でも鮮明に覚えてーー」


「忘れろっ!!」


からかう翠の胸ぐらを顔を赤くしながら掴み上げ揺さぶる一護。周囲は急展開に着いて行けず戸惑っているが、聞く限りで知り合いなのだと分かる。
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