BLEACH 中編・長編

□6.疑心暗鬼
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「杞宮、いつまでそこに張り付いてるつもりだネ?」


「……死ぬまで」


「適当言うんじゃ無いヨ」


ここは技術開発局第三研究室。そこで翠は1部だけ畳になっている所に枕へ顔を埋めて寝転がっていた。マユリの言う通りかれこれ2時間近く張り付くように動かなかった。


翠の発言にマユリは溜め息を吐くと実験を再開させた。俯せになっていた翠は仰向けになると、視線だけマユリに向けた。


「邪険にする割には追い出さないじゃん。お前がツンデレになっても誰も喜ばないし気色悪いだけだよ」


「居させてやってるって言うのに失礼な奴だネ。それとツンデレなんてものになった覚えは無いヨ。そう考える君の方が気色悪いネ」


「なんだとテメェ。忙しい中わざわざ会いに来てやったのになんて言い草だ。殺すぞ」


「殺れるものならネ。それに暇だからここに居るんだろう、君は」


「大正解」


隊は別にしても隊長のマユリに対する態度が20年前と大違いだ。前々からマユリに対する態度は大きかったが、今や昔の敬語の見る影も無い。


翠は15年程前から良くこの第三研究室へ昼寝に来たりしている。マユリが良く使う研究室の1つだが、ここでは機械音などはせず、薬品の匂いがするだけ。たまに強い臭いもするが、ここが落ち着く場所だと翠は言う。


因みに畳は、頻繁に来る翠がわざわざ技術開発局員が仮眠用に使っている毛布やら枕やらを引っ張り出して適当な所で寝始める為、阿近が親切心で作った。一応マユリからも渋々承諾済み。


「藍染を殺したのは君かネ?その話題が瀞霊廷で飛び交っているようだが」


「違うってば。そうやって涅まで俺を犯人扱いするのぉ?明らかに涅の方が怪しさ満載なのに」


「君も充分怪しいヨ」


「一緒にすんな」


「そちらこそ、一緒にしないでくれたまえ」


淡々と作業をしながら翠と言い合いをするマユリ。翠は立ち上がると出入口へ向かった。


「旅禍を拘束した場合はここへ連れて来たまえ。実験のサンプルにするからネ」


「自分で行け」


あの世に逝けと言う意味も込めて言い捨てると第三研究室から出て行き、旅禍を探しに瀞霊廷内を散策し始めた。


その頃一護達は下水道を抜けた所で剣八と遭遇していた。恋次が一緒に居る事に関しては特に気にしておらず、寧ろ切る理由が出来た事に嬉そうにしている。


剣八の事は恋次を始めいろんな者達に聞いているので危険性は知っている。だが、いざ対峙すると予想以上の霊圧に一護は警戒する。ここで剣八に運悪く遭遇した事に恋次は舌打ちする。


「一護、ここは2人で隙を作って逃げるぞ」


「逃げるって………俺は逃げねぇ」


「!?お前分かってんのか…更木隊長の強さは…!」


「分かってる!戦ってもねぇのにヤベェって感じる……けど、ここでコイツを倒さねぇと井上達が危ねぇかもしんねぇだろ…!!」


「!…お前…」


今自分に迫っている危機よりも、ここで逃げた時に仲間へ迫る危機を恐れている一護に、恋次は目を見開く。
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