BLEACH 中編・長編

□7.灰色の空
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「杏ちゃん、翠居た?」


「十二番隊中探したけど居なかった…」


今莉乙と杏は消えた翠を探していた。昨日の夕方時まではイヅル含め三番隊隊士達が隊に居たのを見掛けたが、20時以降旅禍について紬が翠に聞こうとし寝室を訪れた時居なかったのだ。そして三番隊中を探しても見付からず、莉乙と杏にも情報がいき、探し回る事に。


その晩は何1つ手掛かりが無く諦めたが、翌日の今日様々な隊に聞いて回ったが全て空振り。ギンに聞いても分からないようで、首を横に振っていた。突然の失踪に動揺が隠せない。


今は九番隊に来ていた。残念ながら隊長の東仙要と修兵は旅禍捕縛の為不在だが、三席の鳥凱ツバサに捜索を手伝って貰っていた。


鳥凱ツバサ(とりかい つばさ)…修兵の同期で、修兵入隊2年後に九番隊に入隊した男性死神。大人しい性格で、強気な女性には弱い所はあるが、なんだかんだで引かない所もある。10年前までは平だったが、始解を会得してから頭角を現した。身長168cmと低めで栗色のパーマが掛かっているふんわりヘアーで童顔なので女性死神から可愛がられている。


そんなツバサとは修兵と仲が良い翠に着いて行って知り合い、今や年上だが弟のような友人だ。特に莉乙は可愛がっている。


「翠さん何処に行っちゃったんだろうね。こんな騒ぎの中だと心配だなぁ」


「全く…困った子なんだから!見付けたらお説教よ!」


「「お母さん?」」


莉乙のお母さん発言に苦笑いする杏とツバサ。すると莉乙がいきなり暗い表情をし俯いた。


「……ウチ…まだ翠に酷い事言った事謝ってないのに……なのに居なくなっちゃうなんて……もう会えないのかな…」


「そ、そんな事無いよ!翠さんが莉乙さんを置いてどっかに行くなんて有り得ないよ!」


「そうそう!私は兎も角莉乙の事置いて行くなんて有り得ないって!」


「私は兎も角って…」


当然のように言ってのける杏にツバサは一瞬可哀想なものを見る目をした。2人の言う事は普段だったら最もな事だが、莉乙は本人から直接言われてしまったのだ、なんとも思っていないと。


「普段から冷たいけど、状況が状況だったからいつもの倍効いたよ。しかも最後にごめんって、いつもと違う雰囲気で謝られて……翠が遠くに行っちゃうような感覚で…」


「ふ、深く考え過ぎだってぇ!翠がいくら怪しくてもそんな…」


それでも、莉乙の真剣な表情に杏は有り得ないと思っていても不安になってしまう。そんな2人をどうにか慰めたいツバサだが、3人の関係に自分が入って行くなんて到底出来ないと、ツバサまでも暗い気持ちになる。


するとそこへ冬獅郎と乱菊が現れた。2人はこれから中央四十六室へ行くところだと言う。莉乙達は何をしているのかと聞かれ説明すると冬獅郎が昨晩翠と一緒に居たと言う。
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