デジモン 中編・長編
□2.マサルの進化
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「俺はお前が学校行ってる間どうすりゃ良い?」
そう、そこが問題なのだ。チビモン達ならコンピューター室に隠れて待っていれるが、大はまず無理だ。卒業生でも無い大を職員が目撃したら追い出されるだろう。
「そこなんだよなぁ。授業の間は街で適当にフラフラしてれば良いけど………どうやって学校に入れるか…」
「正面突破」
「お前が言うと殴り込みみたいだな…」
どうするか悩みどころだ。すると大は「あ」と声をあげ、デジヴァイスicを取り出した。
「これさ、中にパートナーデジモン入れる事出来んだけどよ」
「へぇ!スッゲェな!」
「これに俺入れねぇかな。アグモンじゃねぇけど、ここにあるって事は使えんじゃね?」
『試してみようぜ!』
と言う事で早速試す事に。大輔はデジヴァイスicを大に向けると、横のスイッチを押した。直後、光と共に大は消えた。
『マサルは!?』
デジヴァイスicを見てみると、見事に大は中へ入っていた。その事に大輔とチビモンは目を輝かせる。
「スッゲェ!本当に入っちまった!!」
『ねぇねぇ!これオレも入れるかな!?』
「試してみっか!」
『ヤッター!!』
二人して盛り上がっているが、未だ大はデジヴァイスicの中。
この後試してみたが、無理だった。入れるのはどうやら大だけらしい。もともと大のデジヴァイスicであり、アグモンが入っていたのだから当然だが。
大をデジヴァイスicに入れた状態のまま学校へ行くと、すぐにその事を全員に伝えた。
「スッゴーイ!どうなってるのこのデジヴァイス!?」
「僕達のと形が大分違っているとは思っていましたが、機能もこうも違うのですね」
全員興味津々にデジヴァイスicに入っている大を見る。するとヒカリがデジヴァイスicを手に取った。
「こうやってデジヴァイスの中に入ってるとなんだか、可愛く見えるわね。ね、テイルモン」
『え?うーん……わたしには良く分からないわ…』
ヒカリの発言にテイルモン苦笑い。その発言に大きく反応したのはやはり大輔。
「マサルの奴、ヒカリちゃんに気に入られてる〜!羨ましい…!」
『大輔、可愛いって言われても嬉しくないだろ。男なんだから』
チビモンがそう言うと、先程から黙っていた大が口を開いた。
「可愛いなんて言われても嬉しくねぇよ!男なら、漢らしいって言われた方が嬉しいに決まってんだろ!!」
『ほらね』
「でも羨ましい!!」
只の嫉妬である。
大は放課後までデジヴァイスicの中に居たが、アグモンが窮屈だと言った理由が分かったような気がした。
大輔は帰りのホームルームが終わると、直ぐ様コンピューター室に向かった。そして誰も居ない事を確かめると、大をデジヴァイスicから出してやった。
「何かお前疲れてねぇ?」
「デジヴァイスの中ってこんなに窮屈だったんだな。なんもやってねぇってのに、窮屈過ぎて疲れたぜ…」