混合小説 中編・長編
□1.ふざけてますね?
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「美穂待って〜!」
「………なんで着いて来てんの李菜…」
「暇だから!」
「私も居るんだけど」
「どちら様ですか?」
「ヒッデェ!」
今美穂は技術開発局へ向かっていた。しかし暇だからと言う事で李菜と安菜が勝手に着いて来ていた。
何故美穂が技術開発局に向かっているかは、2人はまだ知らない。寧ろあまり知りたくは無いような気もする。
「着いて来たら実験台にされちゃうよ、安菜」
「私限定!?」
「そう、お前限定」
「何故…」
「涅のお気に入りだから…?」
「………嬉しくないウリィ…」
「ウルセェ」
((美穂がいつも通り冷たい…))
いつも通りの冷たさをひしひしと感じる。そんなこんなで技術開発局に到着。中へ入り進む。
「安菜、涅の部屋忘れた。案内してー」
「何故私が…」
「勝手に着いて来たんだから役に立て。涅の実験体No.1」
「嬉しくないNo.1だね、安菜ちゃん」
「泣きたい…」
「泣け泣け。泣き叫べ。そして早く案内しろ」
「さっきから酷いんですけどこの人!!てか、本当に忘れてたんかい…!!」
本日も安菜のツッコミは冴えている。色々と酷い事を言われていたが、途中脅しにも似た事を言われて渋々案内する事に。
バン!!
「お邪魔しまーす」
「静かに開けたまえ。これだから君は…」
涅の研究室に着くと、躊躇無く勢い良く扉を開けた美穂。背を向けていた涅はわざとらしく両手を困ったように上げる。
「白々しい」
「君に言われたくないヨ」
「俺はいつでも本気だよ」
「どうだか」
この二人は会う度にこうやって互いをおちょくるように言い合う。どちらも1歩も引かないので、たまに手と言うより、斬魄刀が出る時がある。その度に阿近が命懸けで止めに入る。
しかし今日はすぐに言い合いは終わる。涅は再び背を向け、大きな布で覆ってある何かに近付いた。
「さっさと終わらせてしまおう。私もそう暇では無いのダヨ」
「ハイハイ」
「?…何するの?」
李菜が疑問を口にすると同時に、涅は大きな布を取り去った。そこから現れたのは、円状の台のような物に、それの四方にセットされたアンテナ。
「今からやるのは、この霊界が出来てからずっとやってきている事」
「え……なんか怖いんだけど…」
「怖い事は無いさ。只の調査だからネ」
「調査…?」
更に疑問が深まる。美穂は何の警戒も無しにその台に乗った。涅は周りの機械の調整をしながら説明をする。
「君達が知らないだろうネ。何故なら、今から行う事は、ずっと杞宮美穂がやってきた事だ。まぁ、一時的にあのイズナとか言う奴が代役を果たしていたようだけどネ」
「この機械は生と死の分岐点へ転送する機械、とでも言っておこうかな」
「生と死の…」
「…分岐点?」
その用語に無意識に唾を飲む2人。