混合小説 中編・長編
□2.異世界から始めよう
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「ここがオレの家だよ」
「お邪魔します」
今美穂はミナトの家に来ていた。ミナトがクシナと暮らしていた…ナルトも入れて三人で暮らすはずだった家。
何故美穂がミナトの家に来ているのかと言うと、ここがこれから十四年間暮らす家になるからだ。
九尾事件から二日経った今日。美穂はこの二日間、寝ずに里の再生を手伝っていた。主に怪我人の治療。そして瓦礫を寄せたりする事。
美穂が死神だと言う事はミナトと猿飛、あの場に居た者しか知らない。そしてこの事は秘密である。
美穂の存在は隠す事は出来ない。いずれ何らかの形で死神だと知られなくとも、存在は知られてしまう。だから、最初から"四代目火影と共に九尾を封印した忍"と言うように里の者には伝えている。
実際忍では無いが、いずれ忍の力を手に入れるのだから、それを利用して不自然にならないように伝えたのだ。
そして粗方の治療を終えた美穂は、何処でも良いから住む家が必要だった。別に野宿でも構わないのだが、ミナト達がそれを許す訳が無い。
里が半壊状態になってしまった今、家を壊され、上忍のアパートも壊され、無事だった所に今はギュウギュウになって皆暮らしている。
容易には部屋が見付からない。そんな時、奇跡的に壊されずに済んだミナトの家へと言う案が。と言うかミナトが薦めてきた。
自分の家なら、火影の家と言う事で辺りもそう騒がしくないし、自らお礼がしたいそうだ。生活に必要な物も全て揃っているのもある。
特に嫌がる理由も無かったので美穂は了解した。そして冒頭に戻る。
「好きに使って良いから。君の部屋はナルトの部屋ね」
「良いの?その部屋使っちゃって」
「ああ。ナルトもまだ小さいから当分はオレと同じ部屋だからね」
ナルトの部屋はミナトとクシナの寝室の正面。美穂はその部屋中を一目見ると、リビングに先に行っているミナトを追ってリビングへ。
因みに美穂は死覇装では好奇の目に晒されるので、身長的にはクシナの服が良いのだが、男だと思われているので、ミナトのおさがりを着ている。
二人は向かい合わせで椅子に座ると一息吐いた。
「怪我人の治療までさせちゃってごめんね。本当はゆっくり休んでてもらいたかったんだけど」
「この騒ぎでゆっくり休める訳が無いでしょ。それに、医療忍者?…それも少ないなら尚更手伝わない訳にはいかない」
「…巻き込んでしまったのに………優しいんだね」
「残念。自分から巻き込まれにいった感じだけどね……それに、俺は優しくなんか無いよ。逆に冷たいとか酷いとか言われる時の方が多いからね」
そう言って笑う美穂にミナトは…。
「それは多分、君の言葉の厳しさは愛情の裏返しって分かってて言ってるんだよ。あの時、オレにもしっかりと君の言葉は届いたよ」
ニコッと優しい笑みを浮かべるミナトの言葉に、美穂は一瞬目を丸くするが、直ぐにいつもの表情に戻った。
「会って二日間の人にそんな事言われたの初めてだよ。初めての人には只冷たいだけだって言われる事が殆どなんだけど…」
「そんな事無いよ。だって、あの時の君の言葉には冷たさは感じなかった。オレが生きる事を選ぶように元気付けているようにしか感じなかったよ」
九尾事件の時、自分と重ねてミナトに言った言葉。それはミナトに生きる道を選ばせた。
(あの時は只過去の自分と波風が被って気分が悪くなったからあんな事を言ったんだ………被って無きゃ、いつも通り辛辣な言葉が混じってただろうね)