混合小説 中編・長編
□1.ご対面ね
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崩壊寸前の方舟。それをアレンの奏者の力で元の状態へ戻した。
崩壊した方舟と共に次元の狭間に消えたラビ達も無事に復活。クロスに色々言いたい事はあるが、今は皆との再会を喜ぶ時。
「師匠には困ったものです。リナリーに手を出すなんて…」
「ホント…犯罪にも程があるさ…」
「ハハハハ…」
「…ふん」
先程目撃したクロスとリナリーのラブシーンのようなものを思い出してゲッソリするアレン。今、アレンとラビ、神田、チャオジーは方舟の中を再び探索していた。
クロスとリナリーを二人っきりにするのは避けたいが、リナリーが大丈夫だと言っていたので、渋々。
「……え…?」
「?どうしたんさ、アレン」
立ち止まったと思いきや、驚いたように声を溢したアレン。それに合わせて全員歩みを止める。
するとアレンが右斜め上の方向を指差した。
「だ、誰か居ます…!」
「何だと…」
「え?俺達以外に居たっけか」
驚いてアレンの指差した方向を見上げる。そこは高い建物の上で、そこには黒いロングコートを着ている黒髪の女性がこちらに背を向けて立っていた。
「誰、っすか?」
「敵か」
身構える神田。すると女性がこちらを振り向いた。
ドキュゥウ〜ン!!
「すっ、ストライィークッ!!」
「久々に聞いたっ。ラビのストライク…!」
女性の顔を見た直後、好みだったらしく、ラビが目をハートにして叫んだ。
すると女性はあろう事か、軽々と屋根の上を軽快にジャンプで乗り移りながらこちらに走り寄って来た。数秒後、アレン達の前へ舞い降りた。近くに来たので、顔もハッキリ見える。
少し段のついた極度の前下がりの黒髪。襟足が首もとまでに対して、モミアゲ(?)は胸を軽く隠す程。緋色の瞳は僅かに切れ長で三白眼。
肌が白く、緋色の瞳が良く映える。身長は170cmはあるのだろう、アレンと同じ位かそれ以上。胸は控え目だが、コート越しにもスラッとしているのが分かる。
そして腰に携えている日本刀が気になる。取り敢えずは誰なのか聞かない事には始まらない。
「アナタは…」
「敵か味方か、って聞きたいんでしょ?どっちだと思う?」
「えっと…」
逆に聞き返されてしまったので思わずどもってしまう。すると神田が険しい表情で一歩前へ出た。
「この方舟には俺達しか居ないはずだ。テメェはどうやってここへ入った。少なくとも、ゲートを使うか、ノアの扉を使うか…俺達みたいに吸い込まれたか……これでしか来れない。だが、吸い込まれたのは俺達だけ」
「つまり、ゲートか扉を使った。だとしたら怪し過ぎる…って事ね。言いたい事はなんとなく分かるよ」
「…正直に答えろ」
淡々としている女性に言葉が強くなる。そんな二人の間にラビが割って入った。
「まぁまぁまぁ。落ち着くさ、ユウ。敵だとは限らないだろ?敵だとしたらクロス元帥が気付いてそうじゃね?」
ラビの言っている事は最もだ。クロスなら、方舟内の様子を最も注意深く見ているだろうから気付きそうだ。