混合小説 中編・長編
□2.気紛れですから
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本部に戻って三日。そしてリンネが本部へ来てからも三日。
リンネは採寸を徹底的にやった後に造られた戦闘用の特注コートを取りにコムイの元へ。つまり室長室長だ。
「これが今日から君の身を守る特注コートだよ!受け取ってくれたまえ!」
(なんでテンション高いんだ…)
そんな事を疑問に思いながらリンネはコートを受け取った。
どうやら、初めて会った時にリンネが着ていた服装を真似た形のコートのようだ。早速試着。
膝上半ズボンに、膝までの上着。上のボタン二つ開け、後は閉じている。ボタンは腰までで、下が見える構造になっている。下にはエクソシスト共通のノースリーブを着ている。膝下ソックスとブーツを履いている。
「わぁ。似合ってるじゃないかぁ!」
「どうも」
「サイズはどうだい?キツかったりユルかったりしないかい?」
「大丈夫」
「デザイン嫌だったりしない?」
「大丈夫」
「裏地に無駄にポケットあるけど変じゃ無い?」
「…大丈夫」
「ボタンにリナリーの似顔絵が掘られてるけど、勿論嫌なわけ無いよね!?」
「大丈夫…とでも言うと思ったか!!いい加減ウゼェ…!」
「グフッ!!」
言葉と共に炸裂した拳は、徐々に迫って来ていたコムイの溝うちに綺麗にきまった。
「うっ、うぐぅ……裏地にリナリーの笑顔の刺繍をーー」
「しなくて良い」
まだ諦めていないコムイの言葉をバッサリ切り捨てる。しかし全く挫けないのがコムイであった。
「なんでだい!?あの可愛らしい笑顔をいつでも見れるんだよ?僕の!自慢の!妹リナリーの笑顔が!」
「戦闘でその笑顔がズタボロになって良いなら寧ろ裏返して前衛的に着ていくぞ」
「ヤメテェ〜ッ!!」
「触んな」
リンネのドS発言にコムイは涙を流して腰に抱き着いて来た。軽く頭を叩くが離れず、構わず扉へ歩き出す。ズルズルとコムイを引き摺ってドアの具を握った。
「!」
「うわっ」
リンネが扉を開ける前に勢い良く扉がいきなり開き、コムイにホールドされている為避けれなかった。その為、弾かれるように後ろへ倒れ、コムイを下敷きにした。
「わっ。すまん!大丈夫さ?」
犯人はラビ。コムイの腹の上に尻餅をついているリンネに手を差し伸べる。手をとり立ち上がる際、わざと反動をつけて立ち上がると、グエッとコムイが呻いた。
「ラビットはなんでここに?」
「それ兎さ!?俺はラビ!…リンネがコート受け取りに行ってるって聞いて見にきたさ」
「着替えを?オープンド変態かよ。保護者呼ぶぞ。ブックマンに蹴り飛ばされて来い」
「そっ、そんなつもりで言ったんじゃ無いってっ。誤解さ〜っ」
「冗談だよ」
「もっと冗談っぽく言ってほしいさっ」
「これが精一杯」
リンネの蔑んだような冷たい目に半泣きのラビはタジタジ。
この後ラビと共に室長室を出たリンネは、誘われるがままに食堂へ行った。丁度お昼だったので食堂は賑わっており、席も殆ど空いていなかったが、丁度二人分空いたのでそこへ座った。
「あれ?リンネって寄生型なんにそれだけで良いのか?」
リンネはキノコ雑炊を食べている。寄生型は身体の体力消耗が装備型より多いので、寄生型は大食らいが殆どだ。