BLEACH 中編・長編
□1.数十年前@
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「おい」
ビクゥウッ!!
背後からの低い呼び声に大きく体を跳ね上げる。場所が場所なので恐さ2倍。恐る恐る振り返って見ると…。
ピカンッ!
太陽の光によって輝くスキンヘッドと鋭い目付きが特徴的な男性。
(じゅじゅじゅっ、十一番隊第三席斑目一角!?いやぁああああっ!!目付き悪っ!!)
(あれってハゲかなあ!?)
十一番隊第三席斑目一角。その見た目の厳つさに怯える杏と引き換えに、莉乙の視線は不備にも思いっきり頭に。一角はそんな2人を交互にわざとでは無いが睨み付けるように観察する。
「見掛けねぇ顔だなぁ?何処の隊所属だ」
「はいっ。じゅっ、十二番隊に先日配属されました柴木杏です…!」
「ウチは同じく先日十三番隊に配属された晏藤莉乙です!よろしくお願いしますっ。ハゲさん!」
「ハゲだぁあぁああああっ!!?」
「莉乙さぁあああんっ!!?」
テンパって思わず思っていた事が口に出てしまった莉乙に一角はキレ、杏は絶叫する。
「これは剃ってんだ!!」
「いやぁあああっ!!どうか莉乙をお許しください…!!」
テンパっている莉乙が更に失言をしないように口を押さえ付けながら必死に謝る杏。そんな莉乙を一瞥し、莉乙を1回睨むと、取り敢えず落ち着いたようで、何の用か聞いてきた。正直に友人の翠に会いに来た事を伝えると驚いた表情をされた。
「そうか、あいつの…………待ってろ。呼んで来てやる」
「「??ありがとうございます」」
その反応に首を傾げる。一角が隊の中に入っていった後顔を見合わせる。
「さっきの反応なんだろ」
「さぁ?もしかして斑目三席と仲良いんじゃない?」
「成る程。逆に悪いってパターンもあるぞよ」
「あ〜」
どっちも有り得ると話していると、一角が出て来た。その後ろからは懐かしい幼馴染みの姿が。
「久し振り。少しは強くなった?」
杞宮翠(こみや あき)。唯我独尊、傍若無人の二拍子を表したような性格の男性。毒舌な翠は言われたら倍返しが基本で、莉乙を越える腹黒さ。仲が良い者には存外気さくだが、そうではない者には敵意を向ける。常にポーカーフェイスなので、冗談が冗談に聞こえない。
緑がかった肩までの黒髪を三つ編みハーフアップにしており、モミアゲが極度の前下がり。瑠璃色の吊り目は落ち着き払っており、キリッとした男前な眉毛。身長169cmで、筋肉は均等についている。
翠の登場に2人は表情を明るくし抱き着いた。特に莉乙は遠慮が無い。
「翠久し振りぃいいいい!!会いたかったんやで〜!!たまにしか連絡寄越さないから心配したよぉ〜!!」
「何故に関西弁混ざってる!?てか五月蝿いよ莉乙っ」
「杏黙れ」
「ええ!?なんで私ぃ!?」
1番五月蝿い莉乙を差し置いて五月蝿いと言われた杏は当然驚愕。翠から離れて抗議するが、無視をされた上に泣き付いている莉乙の頭を撫でているので「贔屓だっ」と嘆く。
そんな杏の嘆きをも無視し、莉乙を離すと改めて2人を見た翠。本当に懐かしんでいるようで、少し口元が緩んでいるように見える。