BLEACH 中編・長編
□6.疑心暗鬼
2ページ/6ページ
「カッコイイじゃん。ホント、仲間思いの良い奴だね」
「「!!」」
背後からの声に咄嗟に振り向き様に一護が斬月を振り上げるが、それは避けられ剣八の隣に着地した。声の主は翠で、その肩にはやちるが乗っている。剣八は2人を見下ろすと、翠の襟首を掴んで目線まで持ち上げた。
「コイツ等は俺の獲物だ。テメェは引っ込んでろ。テメェの相手は後でしてやる」
「良いじゃんどっちか譲ってくれても。2頭追う者は1頭も得ずだよ」
「安心しろ。テメェを入れて3頭だ」
「何を安心すれば良いの?」
ニヤァと笑みを浮かべる剣八に本気で首を傾げる翠。
「剣ちゃんアッキーにどっちか分けてあげてよ!他の旅禍は邪魔されて逃げられちゃったんだって!」
「ああ?」
「もうちょっとで仕留めれたんだけどね」
すると翠の最後の言葉に反応したのは一護だった。
「井上達に何かしたのか!?」
その問いに翠は顔だけ一護に向ける。
「その井上って奴は軽傷だけど、滅却師の方は結構ボロクソやっちゃった。でも途中で四楓院夜一に邪魔されたから生きてるよ。女が確か回復系の技使えるみたいだからもう結構回復してんじゃないの?」
淡々と説明する翠。雨竜が重傷だった事には怒りを覚えるが、何とか助かっているみたいで一安心する。そんな一護の様子を見て翠は地面に足を着くと流月を抜いた。
「でもお前らは逃がさない。恋次、お前もだ。旅禍に加担するってならどうなるか、分かってるよな?」
「…ああ。それでもルキアを助ける為ならテメェでもぶっ飛ばす!」
そう言うと恋次は翠に切りかかった。それを受け止めた翠はさも楽しそうに笑ってる。
「更木隊長。恋次の相手は俺がするから一護の事は任せるね」
「……仕方ねぇ。物足りねぇが譲ってやるよ」
「じゃ、遠慮なく」
剣八からの許可を得ると恋次と共に場所を変える為居なくなった。残された一護は岩鷲と花太郎に逃げるよう言うと、剣八との戦いを開始した。
そして翠と恋次は先程の場所から離れた広い空間へ移動していた。移動中も隙を与える暇もなく切り合っていたが、そこへ到着すると一旦距離を取った。
「恋次、戻って来るなら今の内だよ。お前が負けた事は知られてるけど、一護と行動してるのはまだ俺と更木隊長達しか知らない。お前と戦えるのは嬉しいけどさぁ、敵になるのはちょっとヤだな」
「もうおせぇよ。お前とは結構長い付き合いだが、ルキアを殺すってなら敵だ」
「俺が殺す訳じゃ無いんだけど」
「そっち側に居るって事は同じ事だろ。わりぃが俺にとってルキアは、瀞霊廷より大事な家族なんだよ。もうアイツを傷付けるのはごめんなんだよ…!」
「……ルキアが聞いたら喜ぶだろうね」
恋次の本気さを感じ取った翠は目を細める。そして同時に動き出し、切り合いが再開された。押しているのは翠。始解もしていない翠に押されている状況に恋次は舌打ちをする。
「始解しやがれ!嘗めてんのか…!」
「まさか。俺は斬魄刀にばかり頼ってないだけだよ。鬼道がド下手くそなお前と違って」
「やっぱ嘗めてんじゃねぇか!!」
「今のはね」