BLEACH 中編・長編

□8.交差する想い 前編
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そんなある日、本当は冬獅郎を誘いたかったのだが、非番では無いので仕方無く1人で瀞霊廷裏山で鬼道の修行していた翠。昼頃から4時間程ひたすら修行をし、お腹が空いたと同時に終了した。


(…………まただ…)


十番隊隊舎への帰り道、翠は体の異変を感じていた。それは最近死神としての力を使った際に頻繁に起こっており、頭の中がぐるぐると変な感じがするのだ。気持ち悪い訳では無い。


それと1つ。普通の霊圧とは違う緋色の霊圧がその際漏れ出す。それは自分でも分かる位に普段の霊圧より強力なものだ。最初は抑えようとすれば直ぐに収まったのだが、最近は上手くいかない。


(今日は一段と重いな……誰かに相談した方が良いのかな…)


一向に収まる気配が無い霊圧にそう考え出す。


ピリッーー!


「!?」


そんな事を考えていると、皮膚がぴりつくような重い霊圧を感じた。それは猛スピードでこちらへ向かって来る。本能でヤバイと感じ取った翠は逃げようとするが、1歩遅かった。


「妙につえぇ霊圧を放ってるのはテメェか?見ねぇ顔だな…まぁ良い。俺と殺り合おうぜ!!」


「は、ぁ?」


目の前に飛び込んで来たのは剣八だった。斬魄刀を肩に担いで好戦的な笑みを浮かべている。突然の決闘宣言に思わず翠は怪訝そうに声を上げる。


剣八の事は十一番隊隊長で荒くれ者だと言う事しか知らない。顔を覚えていたので直ぐに誰だかは分かったが、闘いを挑まれる意味が分からない。未だに抑えきれていない緋色の霊圧を必死に抑えようとする。


「更木隊長、俺が隊長と闘う意味が分かりません」


「何だ、俺の事知ってんのか……闘う意味なんざそん時の直感だ!俺がテメェと斬り合いてぇと思ったから闘うんだよ!!テメェを斬ってみてぇと俺の本能が言ってんだ…!!」


当然のように楽しそうに言う剣八に翠はこれから起こるであろう惨劇に身震いした。だが視線は外さない。外したら殺される。


「瀞霊廷内で死神同士の死闘なんかしても良いんですか?しかも隊も違う」


「ゴチャゴチャ言ってねぇで構えろやぁああああ!!」


「っ!」


遂に斬りかかってきた剣八。翠は咄嗟に流月を抜いて受け止め弾き返した。避けても弾き返しても隙を与えないかのように何度も斬りかかってくる。その全ての一撃がとてつもなく重く荒々しい。


「ぅっ……更木隊長っ!やめてください!!」


「上手く受け止めんじゃねぇか!だが反撃して来ねぇと斬られる一方だぞ…!!」


流石隊長と言った所か。戦闘が得意な翠でさえ一方的に圧されている。次々に増えていく切り傷。このままではまずいと思い、距離を取ろうとするが直ぐに追い掛けてくる。


「それで逃げてるつもりかぁあ!?鈍いんだよぉお!!」


「ぐっ!?」


重い体で最速で走るが、数秒で追い付かれてしまい左肩を思いっきり斬られてしまった。それでも必死に逃げる。


(マズイッ…意識が朦朧と……霊圧も抑えられないっ。こんな状態でこれ以上闘うのは危険だ…!)


これ以上戦ったら確実に身体に大きなダメージを与えると予想が出来た翠は何とか剣八を撒こうとするが、再び距離が縮まるだけ。そして左腕を掴まれ地面へ叩き付けられてしまった。
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