デジモン 中編・長編
□1.ある意味奇跡
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何を思ったのか、太一は前へ進み、その光へ手を伸ばした。
「お兄ちゃん危険よ…!」
「大丈夫。危険な事なんて無いさ。なんか分かんないけど、そんな感じがする…」
そしてその光に触れた。直後に強くなる光。太一は引く事無くその光へ触れ続けた。
太一のデジヴァイスが光っている事に全員が気付いているが、何が起こっているか分からない今、誰も口を開かない。光の柱は徐々に小さくなっていき、最後には全て消えた。
ドサッ。
倒れて来た少年を太一が受け止める。床にゆっくりと寝かせると、全員がその少年を見下ろした。
「……………んっ…」
身動ぎした後、少年は目を覚ました。そして自分より年下だと思われる大輔達に見下ろされている事に気付いた。
「どわっ!?」
勢い良く起き上がる。下がろうとすると後ろに居た太一にぶつかった。反射的にその肩を掴んで止め、問い掛けた。
「聞きたい事があるんだけど。お前はデジモンか?それとも人間か?」
「はぁ?何言ってやがる。どっからどう見ても人間だろうが!」
「だよな。でも、デジモンの反応があるんだよ」
「さっきから何意味の分かんねぇ事言って…」
デジヴァイスには少年への反応がデジモンと同じものになっているのだ。
「あなたは本当に人間なんですか?人間だったらデジメンタルから現れる訳が無いし」
「んー。謎よねぇ」
「アルマジモンはどう思います?」
『見た目は人間だけど、匂いは完全にデジモンだぎゃ』
アルマジモンがそう言うと再び全員の視線は少年に向けられる。その視線に少年は首を傾げる。
「俺からデジモンの匂いがする?当然だろ。パートナーデジモンが居るんだからよ」
「パートナーデジモンが!?」
「おう。アグモンがな」
「「アグモン!?」」
太一とヒカリが声をあげる。今度は全員の視線がアグモンに向けられる。それに怯むアグモンだが、少年は首を振る。
「ソイツじゃねぇ。俺のアグモンはもっとデケェし、色がソイツより明るい」
そう言って立ち上がった少年は出入口の方へ歩き出した。
「何処行くんだよ」
「アグモンを探しに行く。アイツには、俺がついてねぇと…」
俯いて言った少年は、アグモンを心配している様子が伺える。それを見た太一は、少年の横に並ぶとニッと笑みを向けた。
「俺も探すの手伝うぜ。そうした方が早く見付かるだろ」
『ボクも一緒に探すよ!君のアグモンに会ってみたいからね!』
「お前ら…」
二人の申し出に驚いたような表情をする少年。すると大輔達も一緒に探すと次々と申し出てきて、全員で探す事に。
「俺は大門大だ。よろしく頼むぜ」
「ああ、任せろ!」
大と太一が握手を交わすとアグモン捜索が始まった。
太一は大と共に。
「アグモーン!何処に居やがんだ!!出て来やがれー!!」
叫ぶ大の横で太一とアグモンも叫んでアグモンを探す。暫く探したが気配すらしない。