デジモン 中編・長編
□3.パートナーは太一?
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大の行方はデジタルワールドのとある山中。
『………お前、人間か』
「だからさっきから、一応今はデジモンだって言ってんだろ」
ブラックウォーグレイモン。ダークタワー百本から生まれた究極体デジモン。
太一のアグモンと面識があり、自分に心があるのに悩んでいる様子。自分の存在意義も不明。
デジヴァイスicを手に持っているブラックウォーグレイモン。大がデジモンなのか人間なのか先程からずっと今の会話を繰り返している。
『お前はどう見ても人間だ。それに、この機械の中に何故入っている』
「何故って言われてもな………あー…んー………入っていないとダメだったから…?」
『…自分でも分からないのか』
「いや、分かっちゃいるんだけどよ…なんつーか、上手い説明の仕方が分からねぇんだよ。そう言う時あんだろ?」
『………分からない……俺が分からないのは、ダークタワーデジモンである俺に心がある理由だ…』
「!……お前、ダークタワーデジモンだったのか」
ブラックウォーグレイモンがダークタワーデジモンだと知る。
『どいつに聞いても曖昧な答えしか返って来ない………お前は、何故ダークタワーデジモンの俺に心があると思う。お前がデジモンだと言うのなら、俺と違う本物の心がある生き物だと言うのなら…それを教えてくれ』
真剣に問い掛けてくるブラックウォーグレイモンに大は、「あー、うー」と考える素振りを見せると、大きく溜め息を吐いた。
「お前さ、難しく考え過ぎなんだよ。心は意味も無く出来るものじゃねぇ」
『では、俺に心があるのは何か意味があっての事なのか』
「あたりめぇだろ!俺はな、自分に心があるのは誰かを守る為だって思ってるぜ」
『誰かを守る…?』
「心があれば自分らしくいれる。自分らしくいれれば、大切な奴等を守れる……俺は己の拳でずっと守ってきた。家族を、仲間を」
『俺に、大切な奴など居ない』
「…お前…馬鹿だな」
『…何…?』
いきなり馬鹿呼ばわりされたブラックウォーグレイモンは表情が険しくなる。それと正反対に大は笑って見せる。
「だってよ、俺なら心があるならそれだけで大喜びするぜ?大切な奴が居ないならつくれば良い。無理してつくる必要はねぇけど……大切な奴ってのは、居るだけで心の支えになるもんだぜ?」
『心の支え…』
「心の支えがあればまた強くなれる。強くなれればまた守れる。お前にも絶対そう思える奴が現れるって!取り敢えずお前は…」
ビシッ!とブラックウォーグレイモンを指差す。
「一人になるな!!」
『!』
予想だにしない言葉に思わずデジヴァイスicを落としそうになる。
「一人だからそんなウジウジウジウジ考えちまんうんだよ!分からなかったら頼れ!そうだな…まずは俺がお前の最初のダチになってやるよ」
偉そうな物言いだが、この真剣さと、他人にこうも必死になれる大の真っ直ぐさに、少しの間言葉が出なかった。
「俺がダチになったからには、一人で悩ませたりしねぇよ。つーか、そんなの俺が許さねぇ!どんっどん頼ってくれよな!!」