デジモン 中編・長編
□6.悲劇に触れて
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「なぁ、マサル」
「あ?」
「………聞いちゃいけねぇとは分かってるんだが………その…」
口ごもる太一。ヒカリもなんだかそわそわしている。二人の様子を即座に理解した大は立ち上がった。
「ロストと何があったかだろ?良いぜ。話してやる。迷惑かけたからな……皆を集めてくれ」
大に言われた通り、全員を集めた。選ばれし子供達全員を。
太一の部屋に全員はキツいが、なんとか空いているスペースに全員が座り、大が話を始める。
「前に、アグモンと出会ってからイグドラシルとの戦いまで話したのを覚えてるか?」
「はい。濃い内容だったのを覚えています」
「確かにな。俺も改めて思い出すとそう思うわ。今はその時と同じ年齢だが、今となっちゃお前らより遥かに年上だから懐かしく感じるぜ」
思い出すあの頃の出来事。
「デジタルワールドにアグモンと一緒に冒険の旅に出て、最初の五年はデジタルゲートが一回も開かなかったから帰れなかった。でも、デジタルワールドの復旧も五年も経てば殆どが終わって、年に何回かデジタルゲートが開くようになった」
デジタルワールドが元の状況を取り戻して来た為、人間界とデジタルワールドの境界線…二つの世界を繋ぐものがハッキリしたからデジタルゲートが開いたのだろう。
「人間界からもゲートは開くのか?」
「ああ、開くぜ。と言ってもそれは機械的なもんだから、成功する時と失敗する時があるけどな。だからデジタルワールドに戻る時は成功した時じゃねぇと行けねぇ」
「僕達は簡単に行けるのに、不思議だね」
「世界によって違うって事だ!こっちの世界はまだ平和な方だ。だがな、俺達の方は何度か両方の世界が崩壊する危機があった。その一つにロストも関係してる」
ロストと言う言葉に、あの場に居た者達は顔を強張らせる。その話を聞いた者も表情は険しい。
『マサルはロストとどんな関係だったの?相手側はマサルに相当入れ込んでたようだけど』
テイルモンの問いに大は…。
「俺がアグモンとデジタルワールドを旅している途中、仲間になったのがロストだった」
-!!?
衝撃が走る。敵だと認識していた者が仲間だったとは驚きだ。
「でっ、でも…仲間だったならなんであんな酷い事を!?」
「そうです!仲間だったなら、何故っ」
京と伊織の疑問は最もだ。
「酷い事?アイツらにとっては普通なんだよ。それに俺に直接ひでぇ事をしてねぇから、アイツらは何をしたって良いと思ってる」
「なんて酷い奴等なんだ…!」
ロストの考えに各々が怒りを感じる。そんな中太一とヤマト、空が疑問を口にする。
「お前に直接やってないから何をしても良いと思ってるって事はよ…」
「ロストはマサルの事を特別視してるって事よね?」
「マサルが傷付かなければ良いって事だからな。何故アイツらはマサルに入れ込む?」
三人の疑問に大はその部分も含めて全てを話し出した。