デジモン 中編・長編

□6.悲劇に触れて
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『マサルゥ〜ン!!』


ここはデジタルワールド。マリンエンジェモンは大の姿を見付けると飛び掛かって来た。それを受け止めると、その頭を撫でた。


「おう、マリンエンジェモン。お前また迷子になったのか?」


『うにゅっ!?ちっがうもぉん!ボク迷子とかなった事無い!!』


「嘘付け。この前思いっきりはぐれてただろ」


『ムムム』


大のツッコミに拗ねたように唇を尖らせる。するとそこへ遅れてアグモンが後ろから現れた。


『あー!!マリンエンジェモンまた兄貴に引っ付いてる!!』


『ここはボクの特等席ぃ〜!』


『俺の兄貴だぞ!!』


『ボクのマサルンだもん!!』


「おわっ。アグモン、テメェは飛び掛かって来んじゃねぇ!!」


『酷いよ兄貴ぃ…!』


大の取り合いになってアグモンが大の背中に飛び乗った。普段アグモンの事を軽々と持ち上げている大だが、突然の衝撃には流石によろけてしまう。


この時大は三十四歳。十四歳の時から数えると、二十年間経っている。


170ちょいあった身長も、180越えしている。髪型は大体はいつものハーフアップだが、以前より髪も長くなっている為、ポニーテールなどにも時々ヘアーチェンジしている。


幼さはもう無く、立派な大人になった。言動は殆ど変わらず子供のような所もあるが。服装は以前と対して変わらないが、色が赤と白に付け加えて黒も入ったものとなっている。


「お!迎えが来たぞ!」


大の視線の先には迎えの者…ヴァルキリモンとスラッシュエンジェモン、エンシェントイリスモンが居た。


『また餓鬼んとこに居ったんかい。餓鬼は餓鬼に引き寄せられるか』


「スラッシュエンジェモン、俺はもう餓鬼じゃねぇ!」


『そうだそうだ!マサル兄貴は大人な漢だぞ!!』


『俺から見たら餓鬼や』


ケラケラ笑うスラッシュエンジェモン。


大がこのヴァルキリモン達と出会ったのは四年前。相変わらずデジタルワールドを旅していた大とアグモンが完全体のデジモン達の抗争を止めようとしている最中に突然現れた。


現れたと言っても邪魔をした訳では無い。あっと言う間に抗争を止めた大とアグモン…進化したライズグレイモンを見ていたのだ。


何故見ていたのか聞くと…。





-イグドラシルを伸した人間とそのパートナーデジモンが居ると聞いて探していた。一度手合わせをしたいと思っていた。





と、言われ、大は勿論その言葉を聞いて大喜びした。そして四体共究極体だと知ると俄然やる気は出る。


シャインググレイモンに進化させると、マリンエンジェモン他三体との戦いが勃発したのだった。


スラッシュエンジェモンとエンシェントイリスモンのコンビとの勝負は、エンシェントイリスモンに重症を負わせたがスラッシュエンジェモンの攻撃にこちらも負傷し僅差で負けてしまった。


ヴァルキリモンとの勝負は、二対一にも関わらず、その俊敏さに翻弄される。だが、こちらもデジタルワールド経験を積んできた身。マサルの丈夫さ度肝を抜かれるヴァルキリモン。この勝負は引き分けに終わった。
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