迷宮入りの館

□新たな
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…yotm


棺の部屋にきて俺たちは立ち止まっていた。


別に普通に立ち止まってるわけじゃないんだ。


問題が一つある。


光「あんなとこに…階段なんてあったか?」


部屋の奥の壁に階段がある。


俺たちが少し前に見にきたとき、薮たちがまだいたときは階段なんてなかったはず…。


龍「なかった…よね?」


大「…ああ。」


そう言ってると横を何かが通り過ぎて行った。


それが分かるのにまったく時間がかからなかった。


光「伊野尾…?」


涼「ま、まさか…行くの…?」


慧「行かなきゃ先に進めないだろ。」


伊野尾は止めていた足を再び動かして階段の前に立った。


慧「……行くのか、行かないのか…?俺は行く。」


伊野尾は決心の目をこちらに向けてそう言った。


光「…じゃあ、俺も行く。」


龍「えっ…」


雄「俺も行くよ。」


涼「でっ…でもまた誰かいなくなったりしたら…っ!」


大「山田、言っただろ?俺たちが守るからって。ちょっとはあの言葉を信じろって、な?」


そうだよ、俺たちが守る。


俺たちしか、守れないんだ。


涼「…うん…分かった。」


俺たちは意を決して階段の前に立った。


雄「…よし、行くぞ。」


高木の言葉を合図に俺たちは足を進めた。








階段は単なる暗闇で、明かりなんて一つもない。


龍「なんか…じめじめしてる。」


光「キノコ生えてそうだな。」


大「え、それ今言う?」


少しリラックスした空気で歩く。


きっとみんな、無理してる。


だからリラックスが必要なんだよ。


涼「階段…どこまで続くのかな…」


慧「さあな…。まあいつかは着くはずだよ。」


涼「うん…」


俺たちは暗い階段をただひたすら歩き続けた。


上ってるのかも下りてるのかも分からない。


ただ一つ言えるのは底知れぬ嫌な予感を感じるということだけ。
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