D.Gray-man長編
□マテールの亡霊<後編>
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「ティムキャンピーです」
そう言って手を差し出したトマの手の上には、粉々に砕け散ったティムキャンピー。
それが徐々に再生し始める。
「お前が見たアクマの情報を見せてくれティム」
ユウに声に応えて、ティムが映像を映し出す。
しばらく映像を見ていたユウが口を開く。
「鏡のようだ…」
ユウの説明を聞き、アクマの能力をある程度理解することができた。
『レベル2に進化しただけで、こんなに厄介になるなんて…』
「…チッ」
自我を持っているうえに能力まで兼ね備えている。ボール型のレベル1より桁外れに強いのも納得がいく。
…それにしても…。
「…レン、顔色が悪いがどうした?」
『ううん、大丈夫…。少し風の流れが違うなと思って』
「風、ですか?」
『ええ、風にはそれぞれ特徴があるの。今はアクマの風がやけに強いわ。近くにアクマがいるのかもしれない…』
「そうですか…」
『早いとこ人形を連れてった方がいいと思う。ユウ、お願いね』
「お前はどうするんだ」
『私は…アレンを探してくる』
「モヤシを…?」
『きっとアレンは生きてる。微かにアレンの風を感じるもの。大事な仲間なの…探しに行かせて』
「初めに言ったはずだ。変な仲間意識は持つな」
『それでも、私はアレンを探しに行きたいの!』
「駄目だ。遠目から見てモヤシだと思ったのがアクマだったらどうする?お前一人で対処できるのか?」
『それは…』
「とにかく、お前は俺と一緒にいろ。もし離れたらあとで仕置きだ」
『う…』
私は渋々、ユウと行動することに決めた。
アレン…大丈夫かな…。
「!!」
そして、ユウが人形がいるはずの物陰を覗いて絶句した。
「逃げやがった!!!」
『え!?』
「くそ、あいつらどこに…っ」
『……! ユウ後ろ!』
「あ?」
不意に気配を感じて振り返った先には、怪我だらけのアレン…いや、アレンの姿をしたアクマが立っていた。