D.Gray-man長編

□マテールの亡霊<後編>
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――その頃のアレン。

「迷った」

迷子になっていた。

「むやみやたらに動くんじゃなかった!ここすごい迷路だよっ。…ティムキャンピーがいてくれたらなぁ…」

――その頃のティムキャンピー

バリバリバリバリ

物凄い勢いで壁を掘り進めていた。







「…カ…カ…ンダァ…」


「さ 左右逆…っ」

トマが驚愕の表情を浮かべる。左右逆――、それはつまりアクマという証拠なのだ。

「どうやら、とんだ馬鹿のようだな」

ユウがイノセンスを発動する。私も天神扇に手をかけた。

「カ…ン…ダド…ノ」

『え…?』

今、神田殿って…。

「災厄招来!界蟲一幻!無に還れ!!」

『ユウ…!待って!』

止めた時にはすでに遅くユウの界蟲たちがニセアレンへと襲い掛かる。

『……っ』

いちかばちか、駆け出した瞬間、見覚えのある手が界蟲たちを潰した。

「『!!』」

「ウォ…ウォーカー殿」

『アレン!』

アレンの無事な姿を確認し安堵の息を吐く。

しかし――、

「モヤシ!!どういうつもりだテメェ…!!なんでアクマを庇いやがった!!!」

あまりのユウの剣幕に、私は肩を震わせる。
でもアレンは落ち着いた様子で話しはじめた。

「神田、僕にはアクマを見分けられる目があるんです。この人はアクマじゃない!」

私は倒れているニセアレンの顔を撫でる。

『…顔に切れ目が…?』

アレンはその切れ目に指を差し込み、一気に破いた。

「トマ!!?」

「何…っ」

「そっちのトマがアクマだ神田!!」

『………っ!ユウ!!』

アクマがユウに襲い掛かる。私は咄嗟的にイノセンスを発動した。

『第二解放、守護風!!ユウを守って!!』

お願い、間に合って…!

「ぐっ」

だが、守護風は間に合わず、ユウはアクマに突き飛ばされてしまった。
六幻が飛んできて、地面に突き刺さる。

それを見た私は、頭の中が真っ黒になった。

『ユウ…、ユウ…!!』

私は天神扇を構え、アクマの所へ駆け出した。




「テメェ…いつの間に…っ」

「へへへ お前と合流した時からだよ!こいつの姿なら写してもバレないと思ってさぁ。白髪の奴の姿をあいつに被した…、へへへ 私は賢いんだ」

アクマがトマの姿を切り裂く。

「私の皮膚は写し紙。まんまと殺られたなお前」

「…はっ!」
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