運命の糸
□消えてしまった記憶
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保育園に入園し、家庭の外の世界へと踏み出したサソリは変わった子供と言われていた
「サソリくん、外でお友達と遊ばない?」
と保育士さんが声をかけても
「いい。僕行かない。」
と答えるのがお約束だ
「僕は一人が好きだから」
サソリには友達というものがいなかった。
この頃からサソリはしっかりと自分の考えを持てる子供で、自分には家族がいるから友達は要らない...という考えだった
おかげで保育園では、すっかり「根暗な子」と言われてしまっていたのである
「サソリ...またお人形で遊んでるの?」
「違うよママ。人形で遊んでるんじゃなくて、人形と遊んでるの!」
サソリは人形が好きな子供で、どこへ行くにも何か一つ人形を持ち歩いていた。
これも傀儡師としての魂が残っている証なのだろうか?
「お人形と遊ぶのもいいけど、保育園でお友達も作らなきゃダメよ?」
「えぇーいいよー。僕はこのままでいい。」
今の生活がサソリにとっての幸せであり、それ以上は求めなかった。
「まぁいいじゃないか。」
「あなた...」
「サソリが小学校に上がれば自然に友達もできるよ。この子はとても利口だからな。」