animal novel
□忠犬 VS 高飛車猫
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ジリリリ─カチャ
朝の騒がしい機械音をとめたのはこの家の長男、周助…
ではなく、周助の飼っている猫のケイゴ。
サイドテーブルの上の目覚まし時計の上に足をのせ、ベッドにいる周助を確認し、ニヤリと笑った。
ケイゴはスルリと静かにベッド移動し、布団の中で愛らしく寝息をたてている周助を眺めた。
『おい、周助。起きろよ。』
顔をよせ、甘ったるく囁く…。
どんな雌猫でも、いっぱつで落とせそうで、心の奥までじんわりと痺れるような魅力的な声。
一度聞けば、誰でも夢中になるだろう…
しかし、どんなに甘ったるく囁こうが、周助には「ニャー」としか聞こえない…
『…周助…』
無反応な相手の名前を呟き、額にキスを落とす。
ピクリと瞼が僅かに震えたのを見て、ケイゴは気をよくした。
ケイゴが目覚ましを止めるようになったのは、この表情を見たいからだ。
一度、悪戯でしたときに見て、それ以来ハマってしまったのだ。