思い込みの恋
□by love (愛で)
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「愛なんて買える」
格言でも、気取ってるわけでもない。ただの事実。
っは?んなわけないだって。ふふふ、俺もオメーさんみたいな若造のときは俺もそう思ってた。でもなあ、現実はちげーんだよ。なんだって金さえあれば何でも買える。寿命も、人も、夢も、全てが手に入る。
この話は俺が19の頃の話。純粋で明るかったあの頃の・・・。
その頃、俺は某W大学1年の早川 努。簡単に、客観的にいえば、単純で馬鹿で綺麗な心を持ってた。
<ここからは、過去の彼が語ります>
(ぴぴぴぴっぴぴぴぴっぴーーーー)
うるさいなあ、んまだねむいんだよぉ
ってやべぇ もうこんな時間じゃん。どうしておこしてくれなかったんだよ ・・・。 なんでもない、なんでもない。
俺はいつも通り寝過ごし、パンを手にとり、走る。電車のる、はあ、まただよ、って自分で突っ込む。学校着く・・・。今日も、そんな感じで終わるはずだった。そうなる筈だった・・・。
運命の悪戯なのか、よくわからないけど、僕はころんだ。しかも、電車のなかで。
何のへんてつもない電車の中で・・・。いつも乗ってる電車で・・・。
まず、こけたことに驚いた。
次に、誰もこんな事考えなかっただろうな。もちろん電車の中の人全員。
いや、分かってても考えようとは思わないだろう。
僕もまさかああなるなんて・・・。
でも、そうなった。偶然で、あってほしい。
僕が倒れる先に女の人がいた。なんだか、気の弱そうな感じのそれはそれは、乙女っていうタイプの。
・・・。
「っ、あ、危ない!」
僕が言った時には遅かった。
『は、はひぃ〜?』
どんがらがっしゃん。
分かるかな?この感じが。だからその、なんていうかさ・・・
『な、な、な』
そんな目で見ないで下さい。たまたまなんです。ほんとすいません。誰か助けてください
『(シクシク)』
「すいません、大丈夫?(って僕のせいなんだよな)」
『(ワーン)』
「・・・」
僕が泣きたいです。出来れば泣かないでほしい。この状況で。
しかも、駅員さん・・・
〔そこの坊こい!、お嬢ちゃん大丈夫?〕
いや、勘違いだから
痴漢じゃなくて、事故だし。
〔ほら、こい〕
「だから、勘違いだから」
「2番目の被害者だから」
〔話は後で聞いてやる〕
「やってない事をいま証明するよ・・・。先ほど揺れましたよね」
〔確かにあれは我々のミ〕
「んで、僕が倒れる。」
〔まだ言い終わって・〕
「この娘にあたる」
「倒れる。」
「いまの状況に」
〔なるか!〕
『・・・(しくしく)た、確かに、か、彼は、正、しい、わ』
はなせるんですか。わんわんいってたのに。
はぁ。
『(しくしく)こ、これは、じ、事故』
〔はい、はい〕
〔お客様、先ほどの揺れは人身事故によるものです。只今安全確認が終わりました。今後ともHNRをよろしきおねが・・・〕