東の海編
□Act.1 Logue townW
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「本当に面白い人ですね。ルフィは」
「そうかぁ? そういうナナシこそ面白れェと思うけどな」
「わかるんですか?」
「何となくだ」
あっけらかんと言ってのけるルフィに驚いた。
ルフィは自分が能力を使ったところを確実には見ていない。
しかし、彼は直感と言えどもナナシが常人ではないことを見抜いた。
まさかここまでとはとナナシは感心する。
「ルフィの言う通り、ぼくは悪魔の実シリーズの"ミズミズの実"を食べた水人間です」
「水人間?! スッゲェー!! 体が水でできてんのか?!」
「有り体に言うとそういうことです」
それを聞いてルフィはきらきらと目を輝かせた。
「さて、そろそろ動きましょうか。あちらも片付いたようですし」
拾った麦わら帽子をルフィに被せて大通りの方を見やると、仲間であるゾロとサンジがこちらに駆け寄ってきていた。
「ルフィ!」
「ゾロぉ! サンジぃ! 二人共元気だったか?」
「それはこっちの台詞だ! 体の方は大丈夫なのかよ?」
「おう! おれはぜんぜん平気だ! ナナシが助けてくれたからなっ!」
ルフィの元気そうな姿にほっと安心したような顔をする二人。
その様子を見ていると、サンジがこちらに視線を向けた。
「ナナシっつったか。あんたには礼を言う」
「こちらこそ東の海で一番のコックに礼を言われるなんて光栄です」
「見てたのか」
「はい。とても良い試合でした」
「そりゃどうも」
「コンテスト? サンジ、コンテストに出たのか?」
話についていけないルフィがサンジにしつこく聞くが、「うるせェ!」と文字通り一蹴された。
ふと、ゾロがこちらをじっと見ていることに気付いた。
「なにか?」
「黒ずくめに蒼髪碧眼と刺青…。あんたのこと、見たことあるぜ」