東の海編
□Monologue
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―――富・名声・力
かつてこの世の全てを手に入れた男。海賊王G・ロジャー。
彼の死に際に放った一言は、人々を海に駆り立てた。
「オレの財宝か? 欲しけりゃくれてやる…。―――探せ…! この世の全てをそこに置いてきた!!」
人々は偉大なる航路を目指し、夢を追い続ける。
「敵船だー!!!」
「野郎共ォ! 戦闘準備だァ!!!」
「行けェ!! 奴らに遅れを取るなァ!!!」
「大砲用意! 撃てェーーッ!!!」
世はまさに、大海賊時代。
―――その時代が訪れる更に昔。
偉大なる航路。赤い大陸。北の海。東の海。西の海。南の海。
そんな名称がなかった時代。
世界はただ一つの絶対的な存在により、破滅の道を歩んでいた。
それは陸を嫌う王だった。
王は陸を滅ぼすべく、世界を海に沈めようとしていた。
しかし、大陸には七つの守護がおり、そしてそれを統べる王がいた。
彼らは陸に住むものを守るべく、王は己の野心のために対峙した。
双方の激しい死闘は海を割り、大地を砕き、空を裂いた。
それは四十日に渡り止むことなく続き、やがて―――野心は倒れた。
七つの守護は再び世界が脅かされることがないよう王と共に長き眠りについた。
野心の王に仕えていたものは枷をつけられ、世界には平穏が訪れた。
眠りに就く前、七つの守護を統べる王は言った。
「王が長き眠りから目覚めた時、世界の秩序は乱れ、均衡は崩れ、破滅へと誘われるだろう。彼らの眠りを妨げることなかれ」
と。
八つの魂が眠りに就いたその時、世界は白い光に包まれた。
陸のものは眠りに就いた魂を祀った。
彼らに安寧と永遠の眠りを与えるよう願って―――。
受け継がれる意思。
時代の捻り人の夢…。
これらは止めることのできないものだ。
人々が自由の答えを求める限り、それらは決して留まることはない。
物語は今、始まる。