東の海編

□Act.1 Logue townW
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鎮火された処刑台を見て、ナナシはふぅと一息吐いた。

しかしあれだけの威力と量を伴った水をぶち込んでしまって、果たしてルフィは無事だろうかと思う。

気になって処刑台に近づくと、まず最初に見たのは白目を向いているバギー。

意識がぶっ飛んでいるだけのようで、息をしている姿に感心した。

だてに海賊団を率いる船長ではないようだ。

バギーから視線を外してその先を見ると、少し離れた位置にサンダルを履いた足が見えた。



(無事だろうか…?)



近づいてみると、寝息のようなものが聞こえた。

大した根性を持っていると安堵して笑いながら、その顔をぺしぺしと叩いた。



「もしもーし。大丈夫ですかー?」

「んぁ?」



しばらく叩いているとルフィの瞼が持ち上がり、それから起き上がった。



「なんだナナシかぁ。先に船に行ってろ―――って、何じゃこりゃあ!!」



倒れている処刑台を見て驚愕するルフィ。

それだけの元気があれば大丈夫だろうと、ナナシは立ち上がった。

飛ばされた自分の帽子を拾って被り直した。



「雷で倒れたんですよ。運が良かったですね」

「そっかぁ雷かぁ。でも、助けてくれたのはナナシだろ?」

「……ぼくがいることに気付いてたんですか?」

「おう!」



にししっと笑ったルフィを見て大したものだと思う。

あれだけの人がいる状況でこちらを見つけたことに驚きだ。



「いやーナナシがいてくれて良かったー。もうダメかと思った」

「どういたしまして。ところで、雷の方は大丈夫なんですか?」

「大丈夫だ! おれはゴム人間だからな!」

「ゴム人間?」



ルフィ曰く自分は悪魔の実の一つであるゴムゴムの実を食べたという。

故に衝撃は緩和し銃弾は弾き返し雷は通らないらしい。

それで空から飛んできた時も平気な顔をしていたのかと納得した。


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