東の海編
□Act.1 Logue townU
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店員の強気な言葉に焦ってウソップは体中を探した。
この店の前の店で商品を購入した際には確かに財布はあったはずだ。
となると、ポケットにないなら店の外にある荷物袋の中だ。
慌てて取りに行こうとした時、小さな女の子が店に入ってきた。
「このゴーグルください」
駆け出そうとしてウソップはその場でずっこけた。
「まぁ可愛いお嬢さんね。これはこの街に一つしかないゴーグルなのよ」
先ほどの口の悪さはどこへ行ったのやら。
店員は上機嫌で売り文句を言っていた。
所詮は金のある客の方に取り入るといったところか。
「ちょっと待てェ!」
聞き捨てならんと立ち上がると、少女が代金を支払っているところだった。
商品であるゴーグルを受け取った少女はトテトテと可愛らしく歩いてくると目の前で立ち止まった。
どこぞのお嬢様のようなフリルのついたドレスを着ている少女は無垢な瞳で見上げてきた。
何だ?と思い、少女を見下ろす。
「すっこんでな。オッサン!」
「オッ…」
可愛らしい口から放たれたとは思えない暴言。
さらにオッサンというショッキングな言葉に呆然とする。
少女はそのまま何事もなかったかのように店を出て行った。
「毎度どうもねー」
上機嫌な店員の声でウソップはようやく我に返った。
慌てて店を出ると、少女が嬉しそうにゴーグルを手にスキップしている姿を見つけた。
「ま、待ちたまえ! そこの君!」
「あァ?」