好きです、野崎くん!
□第一話:野崎圭襲撃?事件
1ページ/2ページ
野崎圭side
因幡さんの双子の弟達のうち一人が見つかり、そして因幡さんが一生分の勇気を使った夜。
『にーに、仄に会いたいなら念のために二人共サングラスでもかけさせといた方が良いんじゃない?』
遥さんが去り際に言った言葉。
優太くんも俺もさっぱり訳がわからなかったが、この一言は因幡さんを動揺させるのには充分だったらしい。
因幡さんは一度事務所に戻ってから眼が隠せる物を探しに部屋の奥に引っ込んでしまい、手持ち無沙汰な俺達はとりあえずソファに座っていた。
「因幡さんどうしちゃったんだろう…。」
「うん…。いつも以上に変だよね…。」
部屋の奥から聴こえる「ない!ない!どうしよう!」という因幡さんの声をBGMにお茶を飲む優太くん。
期待はしてなかったけど俺のは無いんだね。
「あの…すいません…。」
「あ!はい!」
突然ドアの向こう側から聞こえた女の人の声。
いつもの癖で返事しちゃったけどもう閉まってるんだよな…。
目の前の優太くんを見ればお前が出ろと言わんばかりに手をドアに向けている。
ですよね。
遥さんの意味深な言葉と因幡さんのあの反応のせいで何が起こるか少し不安で気が進まないが出ない訳にはいかない。
俺はゆっくりとドアを開いた。
そこに居たのは長い黒髪ストレートの目がさめるような美女。
「すいません夜分遅くに…。私因幡洋の彼女ですが………ん?」
「え、因幡さんにかの…!?」
因幡さんの彼女ということに驚いていると、いきなり美女に顔を両手でガシリと掴まれ固定されお互いの目が合わさる。
そのまま目を合わせていると美女の頬が紅潮し、息が荒くなってきた。
「良いっ!良いわよ、この眼!」
「うわっ!」
急に押されたせいか、自分より華奢な身体にいとも簡単に床に押し倒され、背中を強かに打った。
「痛くないようにしてあげるから大人しくしててね。」
語尾にハートが付きそうな程上機嫌な美女の指先が俺の瞼を優しく撫でる。
思った以上に軽いその身体を、退けようと思えば退けられるのに何故か身体が動かなかった。
お互いの目は相変わらず合わさったままだ。
美女の指がゆっくり目に近付いてあと数ミリで触れるという時、
「おい!」
「!」
いつのまにか居た因幡さんの声に反応した美女がそちらを向いた瞬間急に身体が自由になり、慌てて体勢を逆転させた。
「仄!」
「ひろにーに!」
.